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山本由伸はなぜブルワーズにKOされたのか 追い込んだ12人から三振1つ

2026年10月13日(日本時間) Baseball Archives 編集部 データ出典 MLB Stats API

この記事のポイント

  1. 山本由伸は2回2/3、75球で降板。ポストシーズンの先発で自己最短
  2. 追い込んだ12人から三振は1つ。今季は半分近くを三振に取っていた
  3. 直球の球速は今季より速い。では、何が違ったのか

ドジャースの山本由伸投手は10月12日(日本時間13日)、ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦に先発し、3回途中で降板した。2ストライクに追い込んだ打者12人から奪った三振は1つだけ。初球でストライクを取れたのも14人中7人にとどまった。決め球のスプリットは低く外れて見送られ、直球はファウルで粘られた。

成績は2回2/3を75球、4安打2四球3失点。試合は敵地アメリカンファミリー・フィールドで行われ、ドジャースは4対7で敗れて0勝2敗となった。2回2/3は、山本がポストシーズンで先発した11試合で最も短い。数字は第2戦終了時点。

山本由伸はなぜブルワーズにKOされたのか 追い込んだ12人から三振1つ

0-2と追い込んでから、3度つかまった

1回は1死から、トゥランを2球で0ボール2ストライクと追い込んだ。そこからボールが3つ続き、フルカウントからの156.6キロの直球を左翼へ運ばれた。打球速度は163.4キロ。続くコントレラスも0-2と追い込んだが、128.1キロの弱いライナーが左前に落ち、同点にされた。

2対1とリードをもらった3回は、先頭のハミルトンに中前打を許した。1死後、トゥランをまた0-2と追い込みながら、その間に二盗を決められ、4球続けてボールで歩かせた。最後の1球は146.6キロのカットボールで、MLBの投球追跡データではストライクゾーンの端に入っていた。判定はボールだった。

2死一、二塁で迎えたバウアーズは、12球を投げて四球。フルカウントから直球、カーブ、シンカー、直球、カットボール、スプリットと6球続けてファウルにされ、最後はカーブが地面でバウンドした。12球は、山本がメジャーで1人の打者に投げた最多だった。

満塁で5番イエリッチへの2球目、1ボールからの123.8キロのカーブが真ん中に入った。打球は中前へ抜け、2人が還って2対3。山本はここで降板した。3回だけで36球を投げており、これは今季のレギュラーシーズンも含めて、山本が1イニングに投げた最多の球数だった。

球速は今季より速く、リリースはPSとほぼ同じ

崩れた理由として、まず疑われるのは球の力だろう。だが、直球の平均球速は155.2キロで、今季平均の154.4キロをむしろ上回った。腕の高さの目安になるリリースの高さは162.1センチ。今季平均より2.4センチ低いが、ポストシーズンのこれまでの平均(162.8センチ)とほぼ同じだった。

山本由伸 今季(レギュラーシーズン) ポストシーズン(この試合の前まで) この試合
直球の平均球速 154.4キロ 154.6キロ 155.2キロ
初球がストライク 62.6% 64.3% 50.0%
振られた球のうち空振りの割合 25.0% 25.9% 12.1%
追い込んだ打者の三振 45.7% 44.3% 8.3%

打たれた打球も強くはなかった。前に飛んだ11球のうち、打球速度が152.9キロ以上の強い当たりは2本だけで、今季の35.4%を大きく下回る。

違ったのは、初球と、追い込んでからの結果だ。初球がストライクになった打者は14人のうち7人で、今季の62.6%を下回った。振られた33球のうち空振りは4球で、今季の約半分。今季は追い込んだ打者の45.7%を三振に取っていたが、この日は12人のうち1人だった。

ブルワーズの攻め方は今季の対戦とほぼ同じ

ブルワーズは今季、山本との2試合で13回を自責点2に抑えられている。その2試合と比べても、打線の振る舞いはほとんど変わらなかった。初球に手を出した割合は、今季の2試合が28.0%、この日が28.6%。山本のスプリットのうちボール球を振った割合は、どちらも27.3%だった。

追い込まれてからは、振ったうちの約半分をファウルにした。今季の2試合が48.5%、この日が47.4%。違ったのは結果で、今季の2試合は追い込まれた27人のうち出塁が3人だったが、この日は12人のうち5人が出塁した。ただ、この日の対戦は14人と少なく、割合の差は割り引いて見る必要がある。

ロバーツ監督は、コントレラスとバウアーズの打席を挙げて「とてもいい球をファウルにしていた」と相手を称えた。ブルワーズの今季の三振の割合は22.0%で、三振の少ないほうから30球団の17番目と、とりたてて三振の少ない打線ではない。

なぜ仕留められなかったのか

ここからは推論になる。山本の今季の空振りは、4割近く(337のうち125)がスプリットだ。地区シリーズ第3戦では、スプリットとカーブを振らせた19球のうち11球が空振りだった。この日は、2球種を振らせたのが8球で、空振りは2球しかない。

スプリットは15球のうち6球が、本塁の上で地面から30センチより低いところを通った。今季のスプリットでは26.0%だった低さが、この日は40.0%。この6球に、ブルワーズは1度もバットを出さなかった。スプリット全体でも振ったのは15球のうち5球で、今季の53.6%を大きく下回る。

決め球が見送られると、カウントが悪くなり、ストライクを取りやすい直球に頼る場面が増える。この日は75球の36.0%が直球で、今季の26.2%より多かった。追い込んでからも32球のうち11球が直球。その直球は11回振られて空振りが1度もなく、6球がファウルになった。

まとめると、スプリットが低すぎて見送られ、直球はファウルで粘られた。14人中6人がフルカウントまで粘った。今季の割合なら2人ほどだ。ただし75球、スプリットは15球の話で、偶然の幅は大きい。

ロバーツ監督の交代判断と佐々木

ロバーツ監督が動いたのは、イエリッチの2点適時打の直後だった。山本は14人目の打者を終えて75球。3回はトゥランを歩かせた後にも、一度マウンドに集まって間を取っていた。次の打者は左打ちのミッチェルで、左腕のベシアを送り、三振で回を終えた。

監督は試合中、FOXの中継のインタビューで交代の理由を問われ、「あそこで傷口が広がるのを止めないといけないと感じた」と話した。イエリッチへの1球については、変化球が甘く入ったと認めている。

佐々木朗希投手は4回に登板し、1回を14球、1四球1奪三振の無失点。直球は最速162.5キロだった。ドジャースは5回に一度は4対3と逆転したが、その裏にコントレラスの本塁打で追いつかれ、6回に勝ち越された。

ポストシーズンの先発で自己最短

2回2/3は、山本のポストシーズンの先発11試合で最も短い。これまでは2024年の地区シリーズ第1戦、パドレス戦の3回だった。ただし、メジャーでの自己最短ではない。最短は2025年7月7日、同じブルワーズ戦での2/3回。

0勝2敗から勝ち抜けたのは40度で6度

リーグ優勝決定シリーズが7回戦制になった1985年以降、0勝2敗になったチームが勝ち抜けたのは、40度のうち6度で15.0%。そのうち1度は、2020年のドジャースだ。ブレーブスに2連敗してから4勝3敗で勝ち上がった。

第3戦は14日(日本時間15日)、ドジャースの本拠地で行われる。ロバーツ監督は山本を第2戦に回した理由を、第2戦と第6戦の「2試合を投げられる可能性をつくるため」と説明していた。その予定どおりなら、山本の次の先発は第6戦になる。

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この記事の数字について(出典・集計方法)
  • 表から外した数字(今季/PS/この試合)。リリースの高さ164.5/162.8/162.1センチ。ゾーン内に投げた割合48.1%/50.3%/46.7%。ストライクの割合66.1%/66.0%/61.3%。1回あたりの球数14.8/14.4/28.1球。ボール球を振らせた割合33.9%(480/1418)/33.1%(149/450)/30.0%(12/40)。直球の縦の変化量(pfx_z、重力だけで落ちた場合を基準にした浮き上がり量)は今季40.9センチ、この試合38.1センチ、地区シリーズ第3戦38.0センチ。
  • 直球の割合はこの試合36.0%(27/75)、今季26.2%(716/2734)。
  • 今季のレギュラーシーズンの先発28試合は、すべて5回以上(最短は4月27日の5回)。ブルワーズ戦は5月24日7回自責点1、8月14日6回自責点1。地区シリーズ第3戦は7回1失点(stats=gameLog)。
  • 日本人投手のポストシーズン先発(この試合を含め63試合)で、2回2/3は短いほうから8番目タイ。ポストシーズン通算奪三振は59で、日本人最多のダルビッシュ有は62。
  • 試合のデータは MLB Stats API(gamePk 849812、gameType=L=リーグ優勝決定シリーズ)の boxscore と playByPlay、Baseball Savant のゲームフィード(gf?game_pk=849812)による。山本は2回2/3、4安打、3失点(自責点3)、2四球、1奪三振、75球(ストライク46)、対戦打者14人。イニング別の球数は1回25、2回14、3回36。playByPlay と feed/live の2系統で75球が一致することを確かめた。
  • 比べた数字は Baseball Savant の1球データ(statcast_search)。今季は hfSea=2026|&hfGT=R|(2,734球、185回、対戦打者708人)、ポストシーズンは hfGT=PO| の2024〜2026年から第2戦を除いたもの(906球、63回、対戦打者244人。2025年ワールドシリーズ第7戦の救援登板を含む)。今季のブルワーズ戦は5月24日と8月14日の2試合(189球、13回、対戦打者50人)。集計の定義はサイト共通の scripts/lib/statcast.mjs による。
  • 表の割合の分子と分母。ゾーン内:今季48.1%(1316/2734)、PS50.3%(456/906)、この試合46.7%(35/75)。ストライク:66.1%(1806/2734)、66.0%(598/906)、61.3%(46/75)。初球ストライク:62.6%(443/708)、64.3%(157/244)、50.0%(7/14)。振られた球のうち空振り:25.0%(337/1347)、25.9%(115/444)、12.1%(4/33)。追い込んだ打者の三振:45.7%(181/396)、44.3%(58/131)、8.3%(1/12)。
  • 空振りは swinging_strike など、スイングは空振り・ファウル・ファウルチップ・インプレー。ファウルチップは空振りに数えない。1回のトゥランの打席のバントのファウルはスイングに含めない。ゾーン内は Statcast のゾーン1〜9、ボール球は11〜14。ボール球を振らせた割合は今季33.9%(480/1418)、PS33.1%(149/450)、この試合30.0%(12/40)。
  • 強い当たりは打球速度95マイル(約152.9キロ)以上。この試合18.2%(2/11)、今季35.4%(169/477)。この試合の2本はトゥランの二塁打(101.5マイル)とチョリオのライナー(98.9マイル)。
  • 球速・打球速度・高さはマイル・フィート・インチから換算した(1マイル=1.609344キロ、1フィート=30.48センチ)。直球の平均球速はこの試合96.47マイル(27球)、今季95.95マイル(716球)、PS96.06マイル(308球)。トゥランの二塁打は直球97.3マイル(156.6キロ)、打球101.5マイル。コントレラスの安打は79.6マイル。トゥランへの四球の1球は91.1マイル、イエリッチへのカーブは76.9マイル、打球は92.7マイル。佐々木の最速は101.0マイル。
  • リリースの高さは Statcast の release_pos_z の平均。この試合はゲームフィードに release_pos_z が無いため、同じフィードの投球軌道の値(z0・vz0・az・vy0・ay・extension)から本塁まで60.5フィート引くエクステンションの地点で計算した。地区シリーズ第3戦で同じ計算をすると163.1センチで、1球データの値(163.1センチ)と一致した。今季の試合ごとの平均は160.6〜168.3センチの間にある。
  • 直球の縦の変化量は Statcast の pfx_z(重力だけで落ちた場合を基準にした浮き上がり量)の平均。この試合38.1センチ、今季40.9センチ、地区シリーズ第3戦38.0センチ。
  • トゥランへの四球の1球(3回、3ボール2ストライクからのカットボール)は、Statcast のゾーン区分で4(ゾーン内)、ゲームフィードの判定もゾーン内。ただし Statcast のゾーンと、球審の判定やABSチャレンジで使うストライクゾーンは定義が同じではない。この試合でドジャースのABSチャレンジの記録はない。
  • ブルワーズの打者の数字。初球スイング:今季の2試合28.0%(14/50)、この試合28.6%(4/14)。スプリットのボール球へのスイング:27.3%(6/22)、27.3%(3/11)。2ストライクからのスイングに占めるファウル:48.5%(16/33)、47.4%(9/19)。追い込まれた打者の出塁:11.1%(3/27)、41.7%(5/12)。球団の三振の割合は2026年レギュラーシーズンのチーム打撃成績(三振1383÷打席6299)。
  • スプリットとカーブの空振り:地区シリーズ第3戦はスプリット6/10、カーブ5/9。この試合はスプリット2/5、カーブ0/3。スプリットの低さは本塁上の高さ(plate_z)が1フィート(約30センチ)未満の割合で、今季26.0%(189/728)、この試合40.0%(6/15)。スプリットへのスイングは今季53.6%(390/728)、この試合33.3%(5/15)。追い込んでからの32球の内訳は直球11(34.4%、11/32。今季は24.3%、206/847)、スプリット8、カットボール5、カーブ3、シンカー3、スライダー2。直球のスイング11球の内訳はファウル6、インプレー5、空振り0。フルカウントになった打者は今季13.4%(95/708)、この試合42.9%(6/14)。
  • 1人の打者への球数は Savant の1球データ(2024〜2026年のレギュラーシーズンとポストシーズン)で数えた。これまでの最多は2025年5月2日の11球。MLB.com も12球をキャリア最多と伝えている。1イニングの球数の今季最多は、レギュラーシーズンが6月20日4回の30球、ポストシーズンの通算最多は2024年10月5日1回の28球。
  • 先発の投球回は試合ごとの記録(stats=gameLog、gameType=R・P)。メジャーの最短は2025年7月7日ブルワーズ戦の2/3回、次が2024年3月21日パドレス戦の1回。日本人投手のポストシーズン先発63試合は、scripts/find-records.mjs が使う日本人の辞書と試合ごとの記録による。2回2/3より短いのは、ダルビッシュ有(1回、1回2/3を2度)、黒田博樹(1回1/3)、千賀滉大(1回1/3、2回)、大谷翔平(2回1/3)の7試合。今永昇太の2回2/3は2025年10月6日。
  • ポストシーズン通算奪三振は find-records.mjs(gameType=F,D,L,W の通算)による。山本59、ダルビッシュ有62。
  • 0勝2敗からの突破は、1985〜2025年のリーグ優勝決定シリーズ80シリーズ(1994年は開催なし)を schedule?gameType=L の勝者から日付順に数えた。第1戦と第2戦を同じチームが取ったのは40シリーズで、もう一方が勝ち抜けたのは1985年ロイヤルズ、1985年カージナルス、2004年レッドソックス、2020年ドジャース、2023年ダイヤモンドバックス、2025年ブルージェイズの6度(6/40=15.0%)。
  • 第3戦の日程は MLB Stats API の日程データ(10月13日時点)による予定で、変更されることがある。
  • 発言は次の報道によるもので、英語の発言は当サイトが日本語に訳した。当サイトが取材したものではない。交代の理由は California Post(Yahoo Sports 配信、2026年10月12日)、ブルワーズの打者への評価とイエリッチへの1球は ClutchPoints(Yahoo Sports 配信、2026年10月13日)と MLB.com(2026年10月12日)。Full-Count(2026年10月13日)も同じ発言を伝えている。第2戦に回した理由はデイリースポーツ(2026年10月10日)。山本本人の試合後の発言は、この記事の時点で確認できなかった。
  • 日付は現地時間。

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