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菅野智之

菅野智之ロッキーズFA

菅野智之FAへ 被本塁打も四球も同じで防御率悪化、被二塁打21→39

2026年10月9日(日本時間) Baseball Archives 編集部 データ出典 MLB Stats API

この記事のポイント

  1. 35歳でデビューし、2年で22勝。35歳以上でメジャーに来た日本人で最多
  2. 今季は被本塁打・与四球・被打率が前年と同じなのに、防御率は4.64→5.37
  3. フォーシームとシンカーの二塁打・三塁打が7本から28本に

今季の菅野智之は、被本塁打も与四球も被打率も前年と同じだった。それでも防御率は4.64から5.37に上がった。メジャー2年目を終えたロッキーズの右腕は、1年契約が切れて今オフにフリーエージェント(FA)となる。

今季は29試合に先発し、12勝12敗。勝ち星はチーム最多だった。154回1/3で浴びた本塁打33本は、MLB4位だった。最後の登板は9月25日(日本時間26日)のホワイトソックス戦で、村上宗隆に2本塁打を浴びた。

菅野智之FAへ 被本塁打も四球も同じで防御率悪化、被二塁打21→39

35歳でデビュー、2年で22勝

菅野は2025年、35歳でオリオールズからメジャーデビューし、2年で22勝を挙げた。日本人投手の最初の2年間では9位だが、35歳以上でメジャーに来た日本人投手に限れば最も多く、2位の高橋尚成に8勝差をつけた。一方、2年で浴びた本塁打66本は、日本人投手の最初の2年間で最多。

本塁打も四球も同じ、増えたのは二塁打

2年間を並べると、不思議な形が見えてくる。

2025年 2026年
勝敗 10勝10敗 12勝12敗
防御率 4.64 5.37
投球回 157回 154回1/3
被打率 .276 .276
与四球 36 36
被本塁打 33 33
被二塁打 21 39
被三塁打 3 6

被打率も、与四球も、被本塁打も、前年と同じ数字が並んだ。安打はむしろ173本から167本に減っている。それでも自責点は81から92に増え、防御率は0.73上がった。

8月以降に崩れた時期は、走者を置いての被弾が目立っていた(9月の記事)。ただ、1年を通して前年と比べると、増えたのは本塁打以外の長打だった。二塁打は21本から39本へ、ほぼ倍になった。

三塁打も3本から6本。合わせて24本が45本になり、単打は116本から89本に減った。安打は増えていないのに、1本で進まれる塁が増えた。二塁打39本はMLB6位タイ。1打数あたりに許した塁打の多さを示す被長打率も、.478から.523に上がった。

本拠地のクアーズ・フィールドは標高が高く、外野も広い。二塁打が増えた理由として、まず思いつくのは球場だろう。だが今季の二塁打は、本拠地で20本、敵地で19本。ほとんど差がない。オリオールズ時代の2025年も11本と10本だった。

二塁打が増えたのは、終盤だけの話でもない。4月に8本、5月に9本、6月に12本と、シーズン前半から多かった。

打たれていたのはフォーシームとシンカー

増えた長打をたどると、2つの球種に行き着く。フォーシームとシンカーから浴びた二塁打と三塁打は、2025年の7本から今季は28本。増えた21本は、二塁打と三塁打の増加分とちょうど同じだった。

その2球種は、強く打ち返されてもいた。打球速度152.9キロ以上の強い打球の割合は、フォーシームが49.4%から60.2%へ。フォーシームの打球の平均速度も148.9キロから154.4キロに上がっている。

今季いちばん強く打たれた長打は、5月22日の敵地ダイヤモンドバックス戦だった。3回2死、2ボール2ストライク。ゾーンの低めに投じた149.0キロのシンカーを、ケテル・マルテに打球速度187.8キロで右翼へはじき返された。

では、速球が衰えたのか。フォーシームの平均球速は149.3キロから149.0キロで、ほとんど変わっていない。変わったのは、投げた高さと球の質だった。

フォーシームが本塁ベース上を通った高さは、平均90.8センチから79.2センチへ、11.6センチ下がった。ベルトの高さ(約90センチ)より上に投げた割合も、47.8%から29.3%に減っている。

もう1つは縦の変化量だ。Statcastは1球ごとに、重力だけで落ちる場合を基準に、そこからどれだけ浮き上がったかを計測している。値が大きいほど落ちにくい。菅野のフォーシームは42.7センチから37.2センチへ、5.5センチ小さくなった。

以前より低い位置に、以前より落ちる球が来る。高めの速球は、打者のバットの上を通りやすい。低く、浮き上がりの小さい速球は、打者がバットを出しやすい高さに入ってくるため、芯で捉えられやすくなったのではないか。実際、ライナーが二塁打か三塁打になった数は、14本から33本に増えた。

ただし、これは推論である。低めを狙った結果なのか、狙いより下に外れたのかは、データからは分からない。

「来年以降の野球人生に」

今季の契約は、2月10日に結んだ1年510万ドル(約8億円)だった。MLB.comは、ロッキーズで12勝を挙げた投手として球団史上最年長だと伝えている。菅野は10月11日に37歳になる。

最終登板のあと、菅野は「結果ほど内容は悪くなかった」と振り返った。そのうえで「おそらくロッキーズよりも厳しい環境にある球場はない」と話し、1年間の経験を「来年以降の自分の野球人生につなげられると思う」と語った(スポニチアネックス、9月26日配信)。

MLB.comは同じ試合の記事で、菅野が今季「あと4年投げたい」と話していたことにも触れている。ロッキーズ専門サイトのパープル・ロウは「おそらく、これがロッキーズでの最後の先発登板となる」と書いた(THE DIGEST、9月27日配信)。

FA選手の交渉は、ワールドシリーズが終わると本格的に始まる。どこで投げるにしても、来季まず見るべきは被本塁打ではなく二塁打の数だ。フォーシームを投げる高さが前年の水準に戻るかどうかが、その手がかりになる。

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この記事の数字について(出典・集計方法)
  • 成績は MLB Stats API のレギュラーシーズン(gameType=R)の数字(10月9日取得)。投球回はMLB表記の小数(154.1)ではなく、分数(154回1/3)で書いている。
  • 被本塁打のMLB順位・被二塁打のMLB順位・2年間の被本塁打の合計は、2025年と2026年に登板した全投手(2025年873人、2026年868人)の成績から数えた。シーズン途中に移籍した投手は合算の1行で数えている。被二塁打は今季40本以上が5人、39本が菅野を含む3人。
  • 日本人投手の比較は、当サイトの日本人選手一覧(出生国が日本の選手)に載る投手について、投球の年度別成績(yearByYear)を合算した。「最初の2年間」は投手として登板した最初の2シーズン。勝利数は別の経路(stats=season)でも確認した。
  • 「35歳以上でメジャーに来た」はメジャー初登板の日の年齢が35歳以上の投手(菅野、高橋尚成、高津臣吾、建山義紀、斎藤隆、小宮山悟、藪恵壹、桑田真澄、高橋建)。最初の2年間の勝利数は菅野22、高橋尚成14、高津8、斎藤8の順。「35歳以上で迎えたシーズン」は、その年の6月30日時点の年齢で数えた。
  • 本拠地・敵地別の被二塁打は Stats API の homeAndAway による。2026年は本拠地20本・敵地19本、2025年は本拠地11本・敵地10本。
  • 球種別・月別・打球の種類別の数字、球速・高さ・変化量は、Baseball Savant の1球データ(statcast_search、hfGT=R)を当サイトが集計した。球種の区分は Statcast の判定による。フォーシームは2025年485球・2026年518球、シンカーは412球・478球。
  • 「強い打球」は打球速度152.9キロ(95マイル)以上の打球。打球の対象は、犠打を除くインプレーの打球。フォーシームの強い打球の割合は49.4%(40/81)から60.2%(65/108)、シンカーは47.3%(43/91)から52.5%(62/118)。
  • 「ライナー」は Statcast の打球分類(line_drive)による。ライナーの二塁打・三塁打は2025年が14本(127打球)、2026年が33本(137打球)。
  • 本塁ベース上の高さは Statcast の plate_z、縦の変化量は pfx_z(重力だけで落ちた場合を基準にした浮き上がり量)の平均。ベルトの高さより上(plate_z が3フィート=91.4センチ以上)に投げた割合は、47.8%(232/485)から29.3%(152/518)。リリースの高さは182.5センチから180.4センチで、2.1センチ下がっている。シンカーの縦の変化量も30.5センチから27.6センチに小さくなった。
  • 「低く、浮き上がりの小さいフォーシームが捉えられやすくなった」という読み方は当サイトの推論で、打者の狙いや投手の意図はデータからは特定できない。
  • 球速・打球速度はマイルからキロに、高さ・変化量・距離はフィートからセンチに換算した(1マイル=1.609344キロ、1フィート=30.48センチ)。
  • 契約は AP通信(2026年2月11日、KKCO 11 News掲載) による。円は三菱UFJ銀行の対顧客電信仲値で、契約日の2026年2月10日の1ドル=156.17円で換算した。
  • 菅野の発言は スポニチアネックス(2026年9月26日配信)、球団史上最年長の12勝と「あと4年」の話は MLB.com(2026年9月25日・日本時間26日、トーマス・ハーディング記者)、パープル・ロウの記述は THE DIGEST(2026年9月27日配信) の訳による。いずれも当サイトが取材したものではない。発言は原文の一部を引用した。

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