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ニュース2026-07-24佐々木朗希MLB1年目日本人メジャーリーガードジャースStatcast球速

佐々木朗希はなぜ打たれるのか──160km/hの4シームとMLB1年目の現実を、球種データで読み解く

平均160km/h・最速163km/hの速球を持つ佐々木朗希のMLB1年目(2026・ドジャース)は、防御率4.98・被本塁打19と数字が伸びない。だが球種別に分解すると理由がはっきりする。決め球のスプリットは空振り率38.1%・被打率.198と一級品。問題は最も多投する4シーム(被打率.281・強打率45.6%)だ。球速だけではメジャーの打者を抑えられない――佐々木の立ち上がりを、Statcastの実データで読み解く。

Baseball Archives 編集部2026-07-24データ出典 MLB Stats API

平均160km/h、最速では163km/hに達する速球。NPBで完全試合と13者連続奪三振(当時のプロ野球記録)を達成した右腕。佐々木朗希がメジャーに渡ったとき、多くの人が「あの球ならMLBでも通用する」と考えた。

だが2026年、ドジャースでのMLB1年目の数字は、その期待とずれている。17先発で防御率4.98、86回2/3で被本塁打19。奪三振は85と悪くないが、四球も34と多い。球は間違いなく速い。それなのに、なぜ打たれるのか。

この問いには、球速や防御率を眺めているだけでは答えが出ない。**佐々木が「どの球を、どう打たれているか」**を、Statcastの球種別データで分解する必要がある。そこまで踏み込むと、佐々木の1年目は「通用していない」という雑な話ではなく、はっきりした構造を持っていることが見えてくる。

先に結論を言う。佐々木の決め球であるスプリットは、メジャーでも一級品だ。問題は、最も多く投げている4シーム(ストレート)が打たれていることにある。160km/hを超える速球が、である。ここに「球速だけでは抑えられない」というメジャーの現実が詰まっている。

目次


1. まず数字を確認する

事実から確認する。佐々木朗希の2026年(ドジャース)の投手成績は次のとおり。

項目 2026年(MLB1年目)
登板(先発) 17(17)
勝敗 3勝5敗
防御率 4.98
投球回 86.2
奪三振 85
与四球 34
被本塁打 19
被打率 .246
WHIP 1.34

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奪三振率は9イニングあたり8.83と、平均以上の三振は奪えている。だが与四球率3.53はやや多く、何より86回2/3で被本塁打19本というのは目を引く。1試合あたりに直すと1本を優に超えるペースだ。三振は取れるのに、一発を浴び、四球も出る。この「奪三振と失点のちぐはぐさ」が、佐々木の1年目を象徴している。

なぜこうなるのか。ここから球種に踏み込む。

2. 球種を分解する──4シームとスプリット

佐々木の持ち球を、使われ方と結果で分けると、実質的に2つの球種に集約される。

球種 使用率 平均球速 被打率 空振り率 強い当たりの割合
4シーム(ストレート) 50.7% 約160km/h .281 18.9% 45.6%
スプリット 27.4% 約149km/h .198 38.1% 30.9%

(出典:Baseball Savant / Statcast。2026年。強い当たりの割合=ハードヒット率。)

一目で分かるのは、同じ投手の2球種とは思えないほど、結果が対照的なことだ。スプリットは打たれず空振りを奪えている。一方の4シームは、球速こそ160km/hを超えるのに被打率.281と打たれ、強い当たりの割合も45.6%と高い。

そしてこの2球種で使用率の約8割を占める。スライダーなどの3つ目の球種は、数えられるほどしか投げていない。佐々木は実質「速球とスプリットの2種類」で勝負している投手だ。この事実が、後で効いてくる。

3. スプリットは疑いなく一級品

まず良い方から見る。佐々木のスプリットは、メジャーでも通用する武器だ。

空振り率38.1%。これは投げた球のうち、打者がバットを振って空を切った割合で、38%は明確に一線級の数字だ。被打率も.198と2割を切っている。平均球速149km/hは、4シーム(160km/h)から約11km/h落ちる。打者から見れば、同じ腕の振りから160km/hの速球と149km/hの落ちる球が来る。速球にタイミングを合わせれば、スプリットに空を切らされる。

つまり、佐々木がスプリットで三振を奪う場面――ここは、NPB時代から地続きの支配力だ。決め球としてのスプリットに、メジャー1年目で綻びは見えない。85個の奪三振の多くは、この球が生んでいる。

問題は、そのスプリットを「決め球」として活かすための、土台の球にある。

4. 問題は、160km/hの4シームが打たれていること

佐々木が最も多く投げる球は、4シーム(ストレート)だ。使用率50.7%――投球の半分がこの球である。そして平均160km/h、最速163km/hという球速は、MLB全体でも屈指の速さだ。

にもかかわらず、この4シームの被打率は**.281**。強い当たりを打たれる割合は**45.6%**に達する。投球の半分を占め、最も速い球が、最も打たれている。これが佐々木の失点の根っこにある。

しかもこれは「不運で打たれている」のではない。打球の質から算出される期待被打率も.271と、実際の被打率.281とほぼ一致している。つまり内容どおりに打たれている。たまたまヒットが集まっているのではなく、この4シームは今、メジャーの打者に対応されている、と読むのが正確だ。

被本塁打19本の多くも、この最も多投する速球が起点になっていると考えるのが自然だ。強い当たりの45.6%という数字が、その痛打の多さを裏づけている。

5. なぜ160km/hが打たれるのか

ここが本題だ。160km/hを超える速球が、なぜメジャーで打たれるのか。

一つは、メジャーの打者は速球そのものに強いという単純な事実だ。MLBの一線級の打者は、160km/h前後の速球を日常的に相手にしている。球速だけで押し込める相手ではない。速球を抑えるには、球速に加えて、回転や変化による「見た目より伸びる」質、あるいはコースを突く制球が要る。球が速いことは前提条件であって、それ自体が決め手にはならない。

もう一つが、第2節で触れた球種の少なさだ。佐々木は実質、速球とスプリットの2球種で投げている。打者の立場で考えると、待つべき球が絞りやすい。スプリットは低めに落ちる球だから、打者は「高めの速球」に狙いを定めやすくなる。決め球のスプリットが一級品でも、それを引き立てるはずの4シームが的を絞られていては、速球の被打率は上がる。2球種勝負の宿命でもある。

言い換えれば、佐々木の課題は「球が遅いこと」では全くない。160km/hの速球の"質"と、それを活かす球種の幅にある。この二つは、球速とは別の技術だ。

6. 結論:武器は本物、課題は速球と球種の幅

整理する。

佐々木朗希のMLB1年目が防御率4.98に留まっているのは、「メジャーで通用していない」という話ではない。データはもっと具体的なことを語っている。

決め球のスプリットは一級品だ。空振り率38.1%・被打率.198は、メジャーでも明確に一線級で、ここに疑いの余地はない。奪三振率8.83という数字も、この球の支配力を示している。

一方で、最も多く投げる4シームが打たれている(被打率.281・強い当たり45.6%)。160km/hを超える速球でも、質と球種の幅が伴わなければメジャーの打者に対応される――佐々木の1年目は、球速信仰に対するはっきりした反証になっている。

もっとも、これは86回2/3、17先発ぶんのデータにすぎない。MLB1年目の途中経過であり、球種を増やすのか、4シームの質や配球を変えるのか、その修正はこれからのマウンドが決める。武器(スプリット)が本物である以上、土台の速球が噛み合ったときに数字がどう変わるか――それを追いかける価値のある投手であることは、このデータがむしろ示している。

同じ2026年にデビューした打者たちの立ち上がりについては、村上宗隆らのMLB1年目を比較した記事も合わせて読んでほしい。


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この記事について

本記事は、MLB Stats API の公式データと、当サイト独自のデータベース(日本人選手の通算記録・年俸・NPB時代の成績・レジェンドとの比較など)をもとに、当サイトが設計した編集ルールに沿って自動生成しています。記載する数字・成績は実データのみを使用し、憶測や創作は行いません。データの出典と方針

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