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ニュース2026-09-14岡本和真村上宗隆ブルージェイズホワイトソックス本塁打記録StatcastMLB

岡本和真32号が村上宗隆を抜いた 9日で4度動いた1年目の最多

岡本和真32号が村上宗隆を抜いた 9日で4度動いた1年目の最多

9月13日(日本時間14日)、ブルージェイズの岡本和真がオリオールズ戦で32号ソロを放ち、日本人選手のMLB1年目最多本塁打を単独で塗り替えた。9月5日に村上宗隆が30号まで伸ばした記録は、この9日間で4度持ち主を変えている。32本は松井秀喜のキャリアハイ31本を上回り、大谷翔平を除く日本人打者の最多だった鈴木誠也の32本に並ぶ数字。同じ記録を追った9月に、岡本は打率.325、村上は打率.114と正反対の月を過ごした。1球ごとの計測値でまず入れ替わったのは、ボール球に手を出す割合だった。

Baseball Archives 編集部2026-09-14データ出典 MLB Stats API

同じ記録を追いながら、2人の9月は正反対を向いていた――。ブルージェイズの岡本和真が9月13日(日本時間14日)、本拠地のオリオールズ戦で32号ソロを左翼へ運んだ。9月5日に村上宗隆が30号まで伸ばした「日本人選手のMLB1年目最多本塁打」は、この9日間で4度も持ち主を変えた。32本は巨人の先輩・松井秀喜のキャリアハイ31本を超え、大谷翔平を除く日本人打者の最多に並ぶ数字。動いた理由は、打った球ではなく、振らなかった球のほうにあった。

この日の岡本は、直近の出場15試合をすべて5番か6番で過ごしたあと、8月25日以来の4番に戻っていた。スポーツ報知によれば、シュナイダー監督は左腕ロジャースを相手にスプリンガーとゲレーロJr.の後ろへ岡本を置いた理由を、「すごいパワーを持つ彼と並べるのが良いと思ったんだ」と説明している。効いたのは、その並び。

スプリンガーが15号、ゲレーロJr.が9号。3人目の岡本は、フルカウントから3球続けてファウルで粘った末の9球目、トレバー・ロジャースの153.9キロの直球をとらえた。打球速度173.6キロは、「強い当たり」の基準とされる153キロを20キロ以上も上回る数字。打球角度27度、飛距離125メートル。

球団にとっては2012年6月9日以来14年ぶりの3者連続本塁打。岡本自身は「それは、別に何も変わらないです」と平常心で打席に入ったと同紙は伝えている。その一発が、記録の持ち主を入れ替えた。

日本人選手のMLB1年目最多は、長いあいだ動かない記録だった。松井秀喜の16本(2003年)から城島健司の18本(2006年)、大谷翔平の22本(2018年)へ、15年かけて6本しか増えていない。8年動かないまま迎えた2026年、その22本を村上と岡本がそろって飛び越えていた。そして9月に入ると、2人が数日おきに抜き返し合う展開。

日付(米国) 出来事 記録の持ち主
9月5日 村上30号 村上(単独)
9月8日 岡本30号 2人が並ぶ
9月9日 村上31号 村上(単独)
9月11日 岡本31号 2人が並ぶ
9月13日 岡本32号 岡本(単独)

さらに、到達した高さも1年目という枠に収まらない。日本人打者がMLBで残したシーズン本塁打を選手ごとの自己最高で並べると、大谷の55本(2025年)を頂点に、鈴木誠也の32本(2025年)、松井秀喜の31本(2004年)と続いてきた。岡本の32本は鈴木に、村上の31本は松井に並んでいる。今季のMLB本塁打ランキングでも、岡本が10位で村上が11位タイ。1年目の2人が、大谷を除く日本人打者の最高到達点にそのまま重なった。

岡本は9月に打率.325…同じ月の村上は打率.114で24三振

ところが、記録を“奪い合った”当の9月は、2人でまるで違う月になった。岡本は11試合40打数13安打の打率.325、OPS1.100で4本。開幕直後の3月(5試合)を別にすれば、月間打率を3割に乗せたのはこれが初めてだった。

しかし、村上は12試合44打数5安打の打率.114、OPS.454で2本にとどまる。49打席のうち、実に24が三振だった。片方は今季最良の月を、もう片方は今季最悪の月を過ごしていた。

では、なぜ逆を向いたのか。1球ごとの計測値をたどると、正反対へ振れた数字の起点はひとつだった。ストライクゾーンの外へ来た球を振ってしまう割合、英語で「チェイス」と呼ばれる数字。岡本は8月までの28.1%から9月は20.2%へ下げ、村上は21.6%から28.0%へ上げた。

もともと“待てる”のは村上、“釣られる”のは岡本だった。ところが9月に入って、その関係が裏返っていた。振る球が変われば、打球も変わった。岡本の平均打球速度は145.5キロから149.1キロへ、「強い当たり」の割合は43.5%から56.0%へ、最も価値の高い「バレル」の割合も13.4%から16.0%へ伸びている。村上は151.3キロから148.2キロへ落ち、バレル率は19.5%から10.5%へ半減した。ただし空振り率のほうは、岡本が30.7%から28.4%へ下がった一方、村上は39.4%から40.0%とほとんど動いていない。振る球は変わったが、振ったあとに当たるかどうかは変わっていない。

もっとも、9月にインプレーとなった打球は岡本25本、村上19本しかない。1本増えればバレル率は4ポイントも5ポイントも動く数だ。だが、ゾーンの外へ来た球は岡本84球、村上107球。選球と打球という別々の測り方が、2人それぞれについて同じ向きを指している。

対する投げる側は、ほとんど何も変えていない。速球の割合は、村上に対して47.5%から45.7%へ、岡本に対して53.9%から52.6%へ動いただけ。ストライクゾーンの中に投げ込まれた割合も、2人とも3ポイント以内の変化にとどまった。入れ替わったのは来た球ではなく、その球を振るかどうかだった。

村上は9月3日まで2番…打率.114のまま最後は4番へ

村上は9月3日まで2番、4日から10日は3番。11日は先発から外れて途中出場となり、12日と13日は4番に入っている。打率.114の12試合を過ごしながら、打順は下がるどころか最後は4番まで上がった。打てない側をどう見ているかが出るのは、ベンチの並べ方。

ホワイトソックスは76勝73敗でア・リーグ中地区の首位に立ち、2位ガーディアンズとの差は0.5ゲーム。ポストシーズンが懸かった9月に、打てていない打者を打順の上位へ置き続け、最後は4番まで上げた。それ自体が、球団の側の判定だった。

もっとも、岡本にはその判定が遅れて届いた。8月26日から9月12日まで、出場した試合はすべて5番か6番。その間に本塁打を5本打ち、9月に入ってからの打率は3割を超えていた。

しかし、4番に戻ったのは32号を打ったその日だった。ブルージェイズはこの8対1の勝利で75勝75敗の5割に復帰し、ワイルドカード圏まで1.0ゲーム差につけた。報知によれば、今季85打点も2002年のE・ヒンスキーを上回る球団の新人最多で、本塁打と合わせて2部門で球団の新人記録が書き換わっている。

9日間で4度動いた記録を、2人はまったく違う方法で押し上げてきている。岡本は144試合526打数で32本、村上は30試合少ない114試合408打数で31本。“奪い合い”の中身は、「出続けて積む」打者と「少ない打数で柵を越す」打者の対比だ。そこに9月、ボール球を見送れるかどうかという差がもうひとつ乗った。

技術が追いついた結果なのか。1年目の終盤の疲労なのか。それとも、その両方なのか――。

ただし、9月の11試合と12試合で1年目を語り切ることはできない。それでも、“待てた”と“釣られた”が同じ月に正反対へ振れ、打球の中身までそろって後を追っている。問いは「どちらが記録を取るのか」から、「9月に入って2人の何が変わったのか」へ移った。

ブルージェイズは残り12試合、ホワイトソックスは残り13試合。記録がもう一度動くのか、32本のまま止まるのか。どちらに転んでも、決めるのは打った球ではなく振らなかった球だ。そして、その2週間をポストシーズン圏の縁で戦うのは、2つの球団のほうだ。


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