この記事のポイント
- 1年目から5年間の本塁打113は日本人で大谷に次ぐ2位、四球316は日本人最多
- 今季の四球81は日本人右打者のシーズン最多。出塁率.368は自己最高
- 同じ5年のOPSは、FA市場で並べて語られるアロザレーナを上回る
カブスの鈴木誠也外野手が、2022年に結んだ5年契約を終え、今オフにフリーエージェント(FA)となる。チームはワイルドカードシリーズでパドレスに2連敗し、9月30日(日本時間10月1日)に今季を終えた。鈴木はレギュラーシーズン143試合で打率.270、26本塁打、86打点。4年連続の20本塁打だった。
32歳で迎える初めてのFAで、米メディアの格付けでは打者の上位に名前が挙がる。その評価の土台になっているのが、メジャーでの5年間の積み重ねだ。日本人では最初の5年間の本塁打が大谷翔平に次ぐ2位で、2022年からの5年間に2000打席以上立った外野手・指名打者59人の中で、OPS(出塁率+長打率)は12位に入る。

今季は四球81、日本人右打者のシーズン最多
今季の鈴木で目立ったのは、四球の多さだった。81個は自己最多で、日本人の右打者としてシーズン最多になる。これまでの最多は、鈴木自身が昨季に記録した71個。1シーズンに60個を超えた日本人の右打者は、鈴木しかいない。左打者を含めた日本人全体では、上に大谷、福留孝介、村上宗隆、松井の計6シーズンがあり、7位タイになる。
四球が増えたぶん、塁に出る回数も増えた。出塁率.368は自己最高で、規定打席に達したメジャー135人の中で18位、ナ・リーグでは9位。96得点も自己最多で、チームではピート・クロウアームストロングの119得点に次ぐ2位だった。
シーズンの入りは遅かった。春のWBCで右膝を痛め、初出場は4月10日。5月は月間打率.190と落ち込んだが、6月から8月までの3か月は、いずれも月間OPS(出塁率と長打率を足した、打撃の総合力を示す数字)が.930を超えた。
ポストシーズンはワイルドカードシリーズの2試合に4番・右翼で先発し、7打数2安打1四球だった。
1年目から5年間では、本塁打は大谷に次ぐ2位
メジャー1年目から5シーズンの成績を、日本人の主な打者と比べると、次のようになる。
| 選手(5シーズン) | 試合 | 本塁打 | 打点 | 四球 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|
| 大谷翔平(2018〜22年) | 581 | 127 | 342 | 260 | .886 |
| 鈴木誠也(2022〜26年) | 675 | 113 | 382 | 316 | .823 |
| 松井秀喜(2003〜07年) | 681 | 103 | 462 | 314 | .856 |
| イチロー(2001〜05年) | 796 | 52 | 310 | 231 | .819 |
本塁打113本は、大谷の127本に次いで日本人2位。松井秀喜の103本を10本上回る。打点382も松井の462に次ぐ2位で、四球316は松井の314を2つ上回って日本人最多になった。
ただし、大谷の5シーズンには、新型コロナの影響で60試合制だった2020年が入っている。試合数は鈴木より94少ない。
松井とイチローは6年目以降も本塁打を積み上げたため、通算では、鈴木の113本塁打は日本人4位にあたる。上にいるのは大谷(310本)、松井(175本)、イチロー(117本)の3人だけで、イチローまではあと4本。打点382も日本人4位だ。
右打者に限れば、鈴木が抜けている。本塁打、打点、安打、四球のいずれも日本人の右打者で通算最多で、本塁打の2位は城島健司の48本。日本人右打者のシーズン最多本塁打だけは、今季、ブルージェイズの岡本和真が33本で塗り替えた(それまでは昨季の鈴木の32本)。
通算1500打席以上の日本人で比べると、OPS.823は大谷の.949に次ぐ2位。松井の.822をわずかに上回る。
メジャーの外野手・指名打者で12位
同じ2022年から2026年の5年間を、メジャー全体で見てみる。この期間に2000打席以上に立った142人の中で、鈴木のOPSは23位だった。上位およそ6分の1に入る数字で、外野手と指名打者に限ると59人中12位になる。
カブスの中では、この5年間の本塁打113本はチーム最多。2位は、同じく今オフにFAとなるイアン・ハップの110本だった。
FA市場で鈴木と並べて語られることが多いのが、マリナーズのランディ・アロザレーナ外野手だ。同じ5年間のOPSは、アロザレーナの.782に対して鈴木は.823。打席は約430少ないのに、本塁打は3本、四球は15個少ないだけだ。
米メディアの評価と契約予想
米サイトのMLBトレードルーマーズは9月17日のFA格付けで、鈴木を5位に挙げた。アロザレーナと鈴木を、実績のある打者の中で「ほぼ同格の目玉」として並べ、どちらも総額7000万〜1億ドル(約111億〜158億円)程度の契約を得られる可能性があるとした。
2022年の今の契約は5年総額8500万ドルで、当時のレートで約101億円。予想の上限なら、総額でこれを上回る。
獲得に動く球団の名前も出ている。米メディアのジ・アスレチックは9月28日、ブルージェイズが今オフ、鈴木の獲得に動くとみられると伝えた。
一方、カブスは投手陣の立て直しを優先する。10月2日の報道によると、ジェド・ホイヤー編成本部長は、オフの補強の中心は投手になると話し、FAになる選手について「全員を引き留めることはできない」と述べた。
鈴木本人は、敗退した9月30日の試合後、移籍先を選ぶ基準を聞かれ、「家族が安心して住めるところが一番いいかなと」と答えている。
FA選手との交渉は、ワールドシリーズが終わると本格的に始まる。どの球団のユニホームを着ても、来季はあと4本でイチローの117本に並び、5本目で抜いて日本人の通算3位に上がる。日本人の右打者が通算3位以内に入るのは初めてになる。
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この記事の数字について(出典・集計方法)
- 成績は MLB Stats API のレギュラーシーズン(
gameType=R)の数字(10月7日取得)。ポストシーズンはgameType=F。 - 日本人選手の比較は、当サイトの日本人メジャーリーガー一覧(78人)の年度別成績(
yearByYear)を合算して数えた。「1年目から5シーズン」は打席に立った最初の5シーズンで、5シーズンのOPSは年度別の安打・四球・死球・犠飛・塁打から計算した。通算OPSの順位は、通算1500打席以上の12人で比べた。シーズン四球の順位は、日本人全選手の全シーズンで数えた(81個は4例で並ぶ)。 - 右打者・左打者の区別は MLB Stats API の登録(
batSide)による。大谷、松井、イチローはいずれも左打者。 - 今季の出塁率の順位は、規定打席(502打席)以上のメジャー135人、ナ・リーグ68人で比べた。
- 2022〜2026年の5年間の比較は、各年のメジャー全打者の成績を合算した。対象は5年間の合計で2000打席以上の142人。外野手・指名打者は、MLB Stats API に登録された現在の主な守備位置(左翼・中堅・右翼・指名打者・二刀流)で分けた59人。鈴木は5年間で2899打席、アロザレーナは3326打席。
- FA格付けと契約予想は MLBトレードルーマーズの 2026-27 MLB Free Agent Power Rankings: Final Check-In(9月17日、スティーブ・アダムズ記者)による。予想であり、実際の契約とは異なることがある。
- ブルージェイズの関心はジ・アスレチックのミッチ・バノン記者の報道(9月28日)を、Fastball On SI の記事(9月29日)から引いた。ホイヤー編成本部長の発言は MLBトレードルーマーズの Hoyer: Cubs To Prioritize Offseason Around Pitching(10月2日)、鈴木の発言はテレ東スポーツの報道による。いずれも当サイトが取材したものではない。
- 円は三菱UFJ銀行の対顧客電信仲値で換算した。予想額は2026年10月7日の1ドル=158.45円、今の契約は契約した2022年3月18日の1ドル=118.69円。
数字はすべて MLB Stats API ほかの実データです。データの出典と方針