菅野智之のMLBでの歩み
東海大相模の3年夏、神奈川大会準決勝の横浜戦に「振り逃げ3ラン」と呼ばれる場面がある。四回表2死一三塁、打席に立っていたのが菅野だった。低めのワンバウンドをハーフスイングと取られて三振。ところが横浜の選手がベンチへ引き揚げてしまい、門馬監督の指示で二人の走者と菅野自身がホームを踏み、3点が入った。本人は「訳がわからなかった」と振り返っている。決勝は169球を投げて完投したが敗れ、最後の夏は甲子園に届かなかった。2011年のドラフトでは巨人と日本ハムが1位で競合し、抽選で交渉権を得たのは日本ハムだった。入団を拒んで1年待ち、翌2012年に巨人が1位で指名する。原貢の孫で原辰徳の甥にあたり、入団直後には「いつか原辰徳監督の甥ではなく、菅野智之の伯父が原辰徳監督だと言われる投手になりたい」と語った。メジャーへの道も一度止まっている。2020年12月に巨人がポスティングを申請したが、2021年1月7日の期限までに合意に至らず不成立。渡米はその4年後で、2024年10月に海外FA権の行使を表明し、12月にオリオールズと1年1300万ドルで契約した。ポスティングではない。2026年2月10日にはロッキーズと1年510万ドルで契約し、5月16日に日米通算150勝。7月24日の10勝目は、異なる球団での2年連続2桁勝利という日本人初の記録だった。
NPB時代のタイトル
MLBのタイトルとは別。ベストナイン・ゴールデングラブ賞含む主要個人タイトルを収録。
成績
MLB通算年度別成績
| 年 | 登板 | 勝 | 敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 30 | 10 | 10 | 4.64 | 157.0 | 106 | 1.33 |
| 2026 | 29 | 12 | 12 | 5.37 | 154.1 | 96 | 1.32 |
日本人との対戦:日本人打者5人との通算成績
NPB通算(日本時代)
MLB通算はこの数字を含みません。NPB成績はMLB APIに無いため出典から個別収録。
通算獲得額(日米)
この選手の記事
村上宗隆が菅野智之から34・35号 日本人対決1試合2本は2度とも菅野
ホワイトソックスの村上宗隆がロッキーズの菅野智之から1回と7回に本塁打を放った。MLBで日本人打者が日本人投手から1試合2本を打ったのは史上2度目で、1度目に打たれていたのも菅野だった。2025年9月7日、当時オリオールズの菅野が大谷翔平に47号と48号を許している。1876年からの全シーズンを走査すると、日本人打者が日本人投手から打った本塁打は21本しかなく、そのうち6本が菅野から出た。菅野がMLBで投げた1331打席のうち日本人打者との対戦は26打席で全体の2.0%だが、被弾66本に占める割合は9.1%になる。ただしその26打席のうち14打席が大谷と村上で、6本もこの2人しか打っていない。
菅野智之12勝で防御率5.49はMLB唯一 変わったのは一発の中身
9月14日(日本時間15日)、ロッキーズの菅野智之が本拠地のパドレス戦で5回8安打6失点を喫し、今季10敗目を負った。12勝10敗で防御率5.49。今季10勝以上を挙げた44人のうち、防御率が5点台なのは菅野ただ1人だ。ただしこの数字は1か月で作られた。8月11日までは21先発で4.43、そこからの6先発は9.62。1球ごとの計測値を開くと、空振り率は上がり、痛打の割合はむしろ減っている。被本塁打の頻度も動いていない。変わっていたのは、浴びた一発に走者がいるかどうかだった。7月は5本すべてソロで防御率2.95。8月17日以降の7本は、14点を運んでいる。
同じ12勝8敗に並んだ菅野と山本 援護は両方消えていた
8月28日、ロッキーズの菅野智之は4回10安打6失点で敗れた。その前日、同じトゥルイスト・パークで同じブレーブス打線と対峙した山本由伸は、6回1/3を1失点8奪三振に抑えて負け投手になっている。当サイトが2人を並べた8月4日の時点では、菅野が11勝4敗、山本が11勝7敗だった。ところが翌日以降、菅野は1勝4敗。援護点は菅野2.80点、山本2.50点とほぼ同じ水準まで落ちている。同じ12勝8敗に並んだ2人の防御率は、菅野5.23、山本2.56。
日本人投手の一発はMLB平均の1.2倍 打たれ方は2つに割れた
8月23日、千賀滉大が9回裏にサヨナラ本塁打を浴びて0勝9敗になった。同じ日、菅野智之も3回で降板している。2026年の日本人投手9人を合わせた被本塁打率は9イニングあたり1.40本。MLB全体の1.16本を2割上回る。だが1球ごとの計測データを開くと、打たれ方は2つの型に割れていた。今永昇太は被打球の速度が同条件371投手の平均を下回りながら30本を浴び、菅野智之は6人で最も高めを使わないのにバレル率が371人中5位に入っている。そして山本由伸と大谷翔平は、どちらの型にも入らない。
大谷150本でルース超え 要した試合は57多い
8月18日(日本時間19日)、大谷翔平の30号2ランで、ドジャース移籍後の本塁打がポストシーズンを含めて150本になった。ベーブ・ルースがヤンキース移籍後の3年で残した149本を、3年目の8月に追い越している。前日は5打数4安打2本塁打。ルースに並ぶまでの2本のうち、1本目の28号はロッキーズの菅野智之から放ったものだった。ただし要した試合はルースの415に対して大谷は472。レギュラーシーズンだけなら148対139でまだルースが上回り、差を埋めているのはポストシーズンの11本である。そして今季の大谷の打球は、平均速度も角度も強い打球の割合も、移籍後3年でいちばん低い。
援護率とは何か──同じ11勝、山本由伸と菅野智之の決定的な差
援護率は「投手が登板した試合で、味方が9イニングあたり何点取ってくれたか」を表す指標。2026年、山本由伸と菅野智之はともに11勝でMLB全体8位タイに並んでいる。だが援護率は菅野10.34、山本6.53で1.58倍の開きがある。原因はチームの得点力ではない(ドジャースのほうが1試合あたり0.27点多く取っている)。差の正体は「1先発あたりの得点」と「1先発あたりの投球回」という2つの数字の掛け算だった。山本は7回1失点で敗戦投手になり、菅野は5回6失点で勝利投手になっている。勝利数という指標が何を測り、何を測っていないのかを実データで分解する。