ドジャースの大谷翔平が18日(日本時間19日)、ロッキーズ戦の3回に30号2ランを放った。この一発で、ドジャース移籍後の本塁打はポストシーズンを含めて150本に到達。ベーブ・ルースがヤンキース移籍後の3年で残した149本を、3年目の8月に追い越した。
動いたのは2日間だった。17日に5打数4安打2本塁打で149本に並び、翌18日の一振りで抜き去っている。8月12日の時点では、まだ2本あった差である。
ルースがヤンキースに移った1920年からの3年は、54本・59本・35本。移籍1年目の54本は、その年の2位だったジョージ・シスラーの19本の3倍近い。翌年はそれを自分で更新して59本を打った。100年たっても持ち出される数字とは、そういうものだ。
大谷はそこを越えた。ただし、越え方はルースとまるで違う。
ルースに並んだ日の2発、1本目は菅野智之から
17日のクアーズ・フィールド。大谷は5回に28号を左中間へ運び、続く6回にも中堅へ29号を放った。ルースの149本にちょうど並んだのは、この2本目のほうである。
そして1本目の28号を浴びた投手が、ロッキーズの菅野智之だった。ルースに追いつくまでの最後の2本、その片方が日本人対決から出た一発ということになる。この日の菅野は5回7安打6自責点、3奪三振で敗戦投手となった。
翌18日は3回、ライアン・フェルトナーから右中間へ2ラン。ドジャースは7-6で競り勝っている。
19日も同じクアーズ・フィールドでロッキーズと対戦したが、こちらは4打数無安打。三振2と四球1に終わり、31号は持ち越しになった。ドジャースは6-4で勝ち、3連戦を3つとも取っている。
ルースは415試合、大谷は472試合
8月12日の記事で並べた4人のうち、大谷の前に残っているのは2人だけになった。
| 選手 | 移籍先・期間 | レギュラー | ポストシーズン | 合計 | 出場試合 |
|---|---|---|---|---|---|
| マーク・マグワイア | カージナルス 1997–99 | 159 | 0 | 159 | 359 |
| A・ロドリゲス | レンジャーズ 2001–03 | 156 | 0 | 156 | 485 |
| 大谷翔平 | ドジャース 2024–26 | 139 | 11 | 150 | 472 |
| ベーブ・ルース | ヤンキース 1920–22 | 148 | 1 | 149 | 415 |
※出場試合はポストシーズンを含む。大谷の3年目は進行中。
ルースは415試合で149本まで届き、大谷は472試合で150本に届いた。57試合の差である。1本あたりに直すと、ルースは2.8試合に1本、大谷は3.1試合に1本。打った数では抜いたが、効率では抜いていない。
差を埋めたのは、秋の11本
レギュラーシーズンだけを取り出すと、順番は逆のままだ。ルース148本、大谷139本。9本の差が残っている。
埋めているのはポストシーズンである。大谷は2024年に16試合で3本、2025年に17試合で8本。2年で33試合に出て11本を打った。ルースの3年間は、ワールドシリーズ11試合で1本だけだ。
これは打者の差というより、舞台の数の差に近い。ルースの時代のポストシーズンはワールドシリーズしかなく、1920年のヤンキースはそこにすら届いていない。いまのドジャースが世界一になるには3つのシリーズを勝ち抜く必要があり、その分だけ打席が積み上がる。同じ「移籍後3年」という枠でも、中に入る試合の数が100年で変わった。
期間そのものも伸びている。大谷の11本は9月30日から10月27日にかけて出たもので、2025年のポストシーズンは11月1日まで続いた。ルースが1921年に1本を打ったワールドシリーズは、10月5日から13日までの9日間である。
それでも、今季の打球は3年でいちばん弱い
記録は動いた。だが今季の大谷の打球は、移籍してからの3年でもっとも弱い。
| 2024 | 2025 | 2026 | |
|---|---|---|---|
| 平均打球速度 | 154.0キロ | 152.7キロ | 150.5キロ |
| 152.9キロ以上の打球の割合 | 60.1% | 58.8% | 53.0% |
| 平均打球角度 | 16.0度 | 14.9度 | 13.1度 |
| OPS | 1.036 | 1.014 | .942 |
| 1試合あたりの本塁打 | 0.340 | 0.348 | 0.246 |
速度が落ち、角度が下がり、強い打球の割合も減っている。3つとも同じ向きだ。
ただし、打球が弱まったのは今季が最初ではない。2025年もこの3つは前年から下がっていて、それでも本塁打は1試合0.348本と2024年を上回っていた。下げ幅が2年ぶん積み上がった今季になって、本塁打のペースが0.246まで、前年比で3割近く落ちた。
落ち込みの幅は、打球の3指標より大きい。打球の質はじりじり下がり続け、結果があとから追いついてきた。そういう形をしている。
もっとも、8月に入ってからは6本。1試合あたりに直せば0.333で、8本を打った6月とちょうど並ぶ今季最速の水準にある。ただしこの月の平均打球速度は148.0キロで、開幕直後の3月を除けば今季最低。強い打球の割合も44.9%まで落ちている。
しかも6本のうち3本は、打球が飛ぶことで知られるクアーズ・フィールドで出たものだ。ルースに並んだ29号も、抜き去った30号も、その3本に含まれている。打球が良くなったから増えたわけではない。
ルースの3年目も35本止まりで、この年はア・リーグ3位。ケン・ウィリアムズの39本、ティリー・ウォーカーの37本の下にいる。移籍後3年という枠は、どちらの打者にとっても右肩上がりではない。
9本先に、マグワイアがいる
ドジャースは128試合を終えて77勝51敗。残りは34試合ある。
大谷の前にいるのは、A・ロドリゲスの156本とマグワイアの159本だ。あと6本でロドリゲスに並び、9本でマグワイアに届く。単独の先頭に立つには10本いる。今季のペース、つまり1試合0.246本で残り34試合を戦えば8本前後。156本は射程に入り、159本に届くかどうかというところまで来る。
そしてその先に、9月末から始まるポストシーズンがある。過去2年、大谷はそこで33試合に出て11本を打った。
ルースを抜いた150本が、この3年の最終形になるとは考えにくい。残り34試合と、その先の秋がまだ残っている。
この記事の数字について
- 出典はMLB公式のStats API。ポストシーズンは
gameType=P、レギュラーシーズンはgameType=Rで分けて取得し、球団と年で絞って当サイトが集計した - 大谷の成績・ドジャースの順位は2026年8月19日(現地時間)の試合終了時点。シーズン進行中のため変動する
- ポストシーズンの11本の日付は2024年10月5日・10月16日・10月17日、2025年9月30日(2本)・10月17日(3本)・10月24日・10月27日(2本)。10月が9本、9月が2本。2025年のポストシーズンは11月1日まで続いた。ルースが1本を打った1921年のワールドシリーズは10月5日から13日まで。「ワールドシリーズ11試合」はルースが実際に出場した試合数で、シリーズ自体は1921年が8試合、1922年が5試合だった
- 「移籍後の最初の3シーズン」は各選手がその球団に在籍した最初の3年を指す。マグワイアの1997年は年の途中の移籍で、カージナルスでの51試合分のみを数えている
- 比較した3人は2026年8月12日の記事で並べた顔ぶれを引き継いだもので、全打者を網羅的に調べ直した結果ではない
- 打球速度・打球角度はBaseball Savantの1球ごとの計測値を、レギュラーシーズンに限って当サイトが集計した。分母はSavantが打球として記録した打席結果(2024年479球、2025年425球、2026年332球)で、ファウルは含まない。原データのマイル表記はメートル法に換算している(1マイル=1.609344キロ)。「強い打球」はMLBが基準とする時速95マイル、すなわち152.9キロ以上の打球を指す
- 打球データだけはSavantが8月18日(現地)までしか取り込んでいない時点の集計。本塁打・勝敗・OPSはStats APIの8月19日終了時点で、基準日が1日ずれている
- 「1試合あたりの本塁打」は本塁打数を、Stats APIのシーズン成績が示す出場試合数で割った値
