勝ち方が、1年で入れ替わっていた――。ドジャースは9月17日(日本時間18日)、敵地グレートアメリカン・ボールパークでのレッズ戦に8対2で勝ち、153試合目でナ・リーグ西地区の優勝を決めた。パドレスもこの日勝っており、自力での決着だった。9月19日を終えて95勝60敗、2位パドレスに9.0ゲーム差。昨季の3.0差からちょうど3倍に広げている。
ところが、広げた中身は「打ちまくった」ではなかった。
得点はほとんど動かず、失点だけが落ちた
昨季と今季を1試合あたりに直すと、こうなる。
| 2025年 | 2026年 | |
|---|---|---|
| 1試合の得点 | 5.09点 | 5.01点 |
| 1試合の失点 | 4.22点 | 3.78点 |
| 勝率 | .574 | .613 |
| 地区優勝の差 | 3.0 | 9.0 |
得点は0.08点減っている。増えたのではない。勝率が4分近く上がり、優勝の差が3倍になった理由は、失点が0.44点落ちたことにほぼ集約される。
投手の数字を並べると、どこが変わったのかがはっきり出る。
| 2025年 | 2026年 | MLB順位 | |
|---|---|---|---|
| 防御率 | 3.95 | 3.63 | 6位 |
| WHIP | 1.26 | 1.16 | 2位 |
| 与四球 | 563 | 468 | 少ない順6位 |
| 被打率 | ― | .220 | 1位 |
昨季の与四球563はMLBで多いほうから5番目だった。それが今季は少ないほうから6番目まで動いている。9イニングあたりに直すと3.52個から3.07個で、1試合につき0.45個減らした計算になる。被打率.220は30球団で最も低かった。2割2分台は、ほかにヤンキース.223、ブルワーズ.224、レイズ.229の3球団がある。
内訳は先発が860回2/3で防御率3.44、WHIP1.09。救援は506回で3.90、1.27。このチームの背骨は先発にある。山本由伸が27先発179回で防御率2.51、WHIP0.87。179回を投げて四球はわずか41個だった。
打線のほうは、数字の顔が変わっている。チームOPS.764はナ・リーグ2位で高いが、本塁打196本はナ・リーグ5位まで下がった(昨季は244本で1位)。盗塁68はナ・リーグ15球団で最も少ない。三振の少なさはナ・リーグ2位。走らず、振り回さず、四球を選ぶ打線になっていた。
9.0差の圧勝の中身
ただ、95勝の内訳を相手別に開くと、別の絵が出てくる。
| 相手 | 今季の対戦成績 |
|---|---|
| ブルワーズ(ナ・リーグ1位) | 3勝4敗 |
| ブレーブス(東地区首位) | 1勝5敗 |
| カブス(ワイルドカード1位) | 2勝4敗 |
| 上記3球団の合計 | 6勝13敗(.316) |
| パドレス | 7勝3敗 |
| ロッキーズ | 10勝3敗 |
10月に当たる可能性の高い3球団に、6勝13敗。一方で、地区最下位のロッキーズからは10勝を稼いでいる。勝率5割以上の相手に絞ると37勝35敗で、ようやく5割をわずかに超える水準だった。
月別に見ても、95勝の作られ方は均等ではない。
| 勝敗 | 得失点差 | |
|---|---|---|
| 3・4月 | 20勝11敗 | +66 |
| 5月 | 18勝10敗 | +63 |
| 6月 | 18勝9敗 | +34 |
| 7月 | 13勝11敗 | −8 |
| 8月 | 13勝14敗 | −2 |
| 9月(19日まで) | 13勝5敗 | +38 |
7月と8月を合わせると26勝25敗、得失点差はマイナス10。この2か月だけを見れば勝率5割のチームだった。9.0差を作ったのは、実質的に開幕から6月末までの56勝30敗である。
そして順位の話には、まだ決着がついていない部分が残っている。ナ・リーグでドジャースは97勝58敗のブルワーズに2.0差の2位。3位ブレーブスとは4.0差だが、直接対決が1勝5敗なので、同率で並んだ場合は下になる。1回戦を免除される2位以内は、残り7試合でまだ確定していない。なおブレーブスの東地区優勝も、9月19日時点ではまだ決まっていない。
優勝を決めた日、大谷翔平はいなかった
補足として書いておくと、地区優勝が決まった9月17日の時点で、大谷翔平は右上腕二頭筋の炎症で故障者リストに入っていた。7月3日を最後に、マウンドに立っていない。
今季の大谷は打者として130試合で打率.277・出塁率.380・長打率.522、30本塁打。OPS.902は、100打席以上のチーム内で最も高い。投手としては14先発85回2/3で防御率1.79、WHIP0.95。この二刀流が、優勝の日にはベンチにもいなかった。
同じ時期、佐々木朗希も右中指のマメで故障者リストにおり、300打席以上でチーム4位のOPSを残していたアンディ・パヘスも、左手の骨折で離脱している。それでも9月は13勝5敗で、月別では今季最高の勝率だった。
10月に向けて、見るべき数字
では、ここから何を見ればいいのか。数字が示しているのは3つある。
ひとつは先発の状態で、上の3枚は良い。8月20日以降の1か月で5先発以上した4人を並べると、ブレイク・スネルが0.76、山本が2.14(WHIP0.74)、タリク・スクーバルが6先発38回で2.84。3人ともシーズン成績を上回っている。ただし4人目のタイラー・グラスナウは5先発で4.50で、シーズンの3.46より悪い。
ふたつめは救援で、ここは差がある。セーブ機会65回のうち成功は43で66.2%、ブローセーブは22。ナ・リーグ15球団で5位という位置だが、上に並ぶのがブレーブス、ブルワーズ、パドレス、ダイヤモンドバックスで、勝ち上がる相手のほうが上にいる。中心の4人(タナー・スコット、エドガルド・エンリケス、ジャック・ドライヤー、アレックス・ベシア)は235回を防御率2点台から3.19でまとめている。ただしエンリケスは腰の違和感で故障者リストに入ったままで、エドウィン・ディアスは15回2/3で防御率10.34、11回のセーブ機会で4度ブローしている。
みっつめは、失点を減らして勝ってきたチームが、失点を減らしにくい相手と当たるということだ。今季のドジャースは被打率.220でMLB1位、四球も出さない。その形が最もよく効いたのは、ロッキーズやジャイアンツのような打線だった。ブルワーズ、ブレーブス、カブスを相手にした19試合では、6勝しかできていない。
守備には気になる数字もある。失策60はMLBで2番目に少ないが、併殺87はMLB最下位。盗塁阻止率.181は25位で、走ってくる相手には弱い。
残り7試合は20日にジャイアンツ、22日から24日までパドレス、25日から27日はジャイアンツ。この7試合で決まるのは、地区優勝ではなく、1回戦を戦わずに済むかどうかのほうだ。
この記事の数字について
- 成績はすべて MLB Stats API から取得した2026年9月19日(米国日付)終了時点のもの。レギュラーシーズンのみを対象とし、ポストシーズンは含まない(
gameType=R)。シーズンは継続中で、記事中の数字はいずれも今後動く。 stats=seasonはチーム単位でも古い値を返す(ドジャースを151試合・745得点と返した。正しくは155試合・777得点)。本稿のチーム成績はすべてbyDateRange(3月1日〜9月19日)で取得し、順位表のrunsScored/runsAllowedと一致することを確認した。- 地区優勝の日付は、順位表の
clinchIndicatorが9月16日終了時点のx(ポストシーズン進出)から9月17日終了時点のy(地区優勝)へ変わったことで特定した。該当試合は gamePk 824464、シンシナティでの8対2の勝利で、シーズン153試合目にあたる。パドレスも同日に勝っているため、自力での決定である。 - ナ・リーグ西地区の最終盤の順位は、ドジャース95勝60敗、パドレス86勝69敗(9.0差)、ダイヤモンドバックス81勝74敗(14.0差)、ジャイアンツ64勝91敗(31.0差)、ロッキーズ57勝98敗(38.0差)。
- MLB内の順位は、30球団の
byDateRangeの実データから当サイトが算出した。得点777は4位、失点586は2位、得失点差+191は2位(1位はブルワーズの+199)。被打率.220は30球団で最も低い。2割2分台はヤンキース.223、ブルワーズ.224、レイズ.229を含む4球団。 - 2025年の数値は162試合ぶん、2026年は155試合ぶんなので、比較はすべて1試合あたりに直している。得点は825(5.09点)から777(5.01点)、失点は683(4.22点)から586(3.78点)。
- 先発と救援の分割は、
statSplitsが126試合分の古いデータしか返さなかったため、投手31人と野手2人を個別に集計した。合計はアウト数4,115・自責点554・奪三振1,436・与四球468・セーブ43・セーブ機会65・ブローセーブ22で、いずれもチーム合計と一致する。先発は9人で860回2/3・防御率3.44・WHIP1.09、救援は22人で506回・3.90・1.27。野手2人の登板5回はチーム合計には入っているが、先発・救援の分割からは外した。 - 月別の勝敗と得失点は、各月の
byDateRangeを試合ログと突き合わせて確認した。3月分は4月に含めている。 - 対戦成績は
scheduleにopponentIdを付けて取得した。西地区4球団との合計28勝17敗が、順位表のdivisionRecordsと一致することを確認している。 - 「勝率5割以上の相手に37勝35敗」は順位表の
splitRecordsによる。1点差ゲームは30勝23敗、延長戦は5勝1敗。 - ナ・リーグの順位は、ブルワーズ97勝58敗、ドジャース95勝60敗、ブレーブス91勝64敗。ワイルドカードはカブス86勝69敗、パドレス86勝69敗、フィリーズ85勝70敗。地区優勝3球団のうち上位2球団が1回戦を免除される前提で書いている。9月19日終了時点で地区優勝が確定しているのはブルワーズとドジャースの2球団で、ブレーブスは東地区首位だが未確定(2位フィリーズに6.0差、残り7試合)。ブレーブスとの直接対決は1勝5敗で、同率の場合はブレーブスが上位になる。
- 大谷翔平、佐々木朗希、アンディ・パヘスの故障者リスト入りは、9月20日時点の40人ロースターの登録区分による。大谷は15日(右上腕二頭筋の炎症)、佐々木は15日(右中指のマメ)、パヘスは10日(左手の骨折)。大谷の最後の登板は7月3日で、以降2か月半近く登板がない。
- 直近1か月の先発成績は、8月20日から9月19日までの
byDateRangeを投手ごとに取得したもの。 - 守備の数字は
group=fieldingによる。失策60、守備率.989、併殺87。盗塁阻止率.181(30/136)はgroup=catchingの値。group=pitching側は.205(26/101)と食い違うため、30球団の比較が可能な前者を採った。group=fieldingには盗塁の項目自体が無い。 - 残り試合の日程は9月20日以降の
scheduleから数えた。
