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ニュース2026-09-20菊池雄星エンゼルス通算50勝勝利数記録指標の読み方MLB

菊池雄星50勝に王手 残り7試合、先行6人になかった数字

菊池雄星50勝に王手 残り7試合、先行6人になかった数字

エンゼルスの菊池雄星がMLB通算49勝64敗のまま9月最終週を迎えた。あと1勝が日本人投手として7人目の通算50勝になるが、エンゼルスに残された試合は7つしかない。先に50勝へ到達した6人と並べると、菊池だけが負け越したまま節目に近づいている。通算防御率4.49は松坂大輔の4.45とほぼ同じだが、松坂の56勝43敗に対して菊池は49勝64敗。1勝に要した投球回は松坂が約14回、菊池が約21回。7人それぞれの在籍中のチーム成績を足し合わせると、到達した6人は全員が勝率5割を超え、菊池だけが.489で5割を割っていた。

Baseball Archives 編集部2026-09-20データ出典 MLB Stats API

実力の問題だけでは、説明がつかなくなってきた――。エンゼルスの菊池雄星が、あと1勝で日本人投手7人目のMLB通算50勝に届くところまで来ている。ところが通算成績は49勝64敗で、球団に残された試合は7つしかない。直近9月16日(日本時間17日)の本拠地マリナーズ戦は4回1/3を自責4、今季6敗目だった。先に50勝へ達した6人と菊池を分けたのは、マウンドの上の数字だけではない。

日本人がMLBで通算50勝に届いた例は、野茂英雄の123勝から松坂大輔の56勝まで6つあった。菊池の49勝はその次に位置し、7人目の椅子に手をかけたまま9月を迎えた。ところが7人を並べると、この投手だけが違う形をしている。6人は全員が勝ち越しているか五分で、負け越したまま節目へ近づいているのは菊池ひとり。15の負け越しが、そのまま“王手”の中身になっている。

同じ防御率、逆の勝敗

7人のなかで、菊池に最も近い数字を残したのは松坂大輔だった。通算防御率は松坂4.45、菊池4.49で、差は0.04しかない。ところが勝敗は松坂の56勝43敗に対し、菊池は49勝64敗で並ばない。投球回はむしろ菊池の1045回1/3が松坂を255回上回った。1勝を挙げるのに要した投球回を割り出すと、松坂の約14回に対して菊池は約21回だった。1先発ぶんを超える回数を余計に投げないと“勝ち星”がつかない。

在籍中のチーム勝率

では何が違ったのか。7人それぞれについて、在籍した各シーズンのチーム成績を足し合わせてみた。

投手 MLB通算 通算防御率 在籍中のチーム勝率
田中将大 78勝46敗 3.74 .563
ダルビッシュ有 115勝93敗 3.65 .541
黒田博樹 79勝79敗 3.45 .533
松坂大輔 56勝43敗 4.45 .530
野茂英雄 123勝109敗 4.24 .514
岩隈久志 63勝39敗 3.42 .502
菊池雄星 49勝64敗 4.49 .489

通算50勝に届いた6人は、在籍シーズンのチーム成績を合算すると全員が勝率5割を超えていた。最も低い岩隈久志でも.502で、かろうじて5割の側にとどまった。菊池だけが.489と5割を割り、在籍中の所属球団を合わせると通算660勝688敗だった。28の負け越しである球団群のなかで、8シーズンを投げてきた。

菊池自身の年度別を開くと、上と下の差がはっきり出る。最も勝ったのは2023年ブルージェイズでの11勝6敗で、チームは89勝73敗(.549)。最も勝てていない今季エンゼルスは1勝6敗で、チームは60勝95敗(.387)。6勝11敗だった2019年マリナーズも68勝94敗(.419)で、2019年と今季はいずれも90敗以上のチームでの1年だった。

ただし単年で必ず対応するわけではない。チーム勝率が最も高かった2022年ブルージェイズ(92勝70敗・.567)で6勝7敗、90勝72敗(.555)の2021年マリナーズでも7勝9敗と負け越した。差が現れるのは、8シーズンぶんを足し合わせたときだ。

残り7試合

一方、今季の菊池は4月29日のホワイトソックス戦で左肩に張りを訴え、5月3日に負傷者リスト入り、22日には60日間の負傷者リストへ移っている。戻ったのは8月23日だった。復帰後5登板の防御率は4.10で、離脱前7登板の5.81より1.71良い。防御率を1.71縮めても、5登板で挙げた白星は1つだった。9イニングあたりの与四球が離脱前の4.06から4.78へ増えており、投球の中身まで戻りきったとは言いがたい。

2019年と2020年は「68勝94敗と27勝33敗のマリナーズで6勝11敗、2勝4敗」。2023年は「89勝73敗のブルージェイズで11勝6敗」。そして今季は「60勝95敗のチームで1勝6敗」。技術が落ちたのか。“居場所”がそうさせたのか。それとも、その両方なのか――。

もっとも、在籍チームの勝率だけで“勝ち星”が決まるわけではない。通算防御率4.49は7人のなかで最も悪く、そこを他人のせいにはできない。ただ、ほぼ同じ4.4台の防御率で56勝43敗を残した投手が実在する以上、勝利数が投手個人の何を測っている指標なのか、素直に信じていられる段階ではなくなった。問いは「菊池は勝てる投手か」から、「勝利数は何を数えている指標か」へずらしたほうが実像に近い。

残り7試合。エンゼルスは米国時間9月20日にツインズ、22日と23日にアスレチックス、そして24日からマリナーズとの4連戦を残した。中5日なら次は22日のアスレチックス戦。もう1度投げるには、中4日で最終カードに回る必要がある。そこに7人目の名前が刻まれるか、“王手”のまま冬を越すか。決めるのは菊池の腕だけではなく、60勝95敗のチームが最後の7試合をどう戦うかでもある。8シーズンを足し合わせた“居場所”は、ついに5割の内側に入らなかった。

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