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ニュース2026-08-05今井達也与四球率BB/9ストライク率アストロズ岡本和真セイバーメトリクス指標の読み方MLB

今井達也、MLB四球ワースト1位が初リリーフで3回パーフェクト

今井達也、MLB四球ワースト1位が初リリーフで3回パーフェクト

8月3日(日本時間4日)、ブルペンに配置換えされた今井達也が渡米後初のリリーフ登板で3回パーフェクト。岡本和真を含む5者連続三振で34球を投げ切った。今井は2026年に50イニング以上投げたMLB212投手のうち、BB/9 5.84でワースト1位。同時にK/9 11.24は10位に入る。この両極端を成立させているのはストライク率だ。ストライク率60%以上の6先発は防御率2.90、50%未満の4先発は防御率25.20。球速も球種構成もほとんど変わっていない。ブルペン転向が四球の解決策になるのかを、MLB全体のデータと照らして検算する。

Baseball Archives 編集部2026-08-05データ出典 MLB Stats API

2026年8月3日(日本時間4日)、ヒューストン・アストロズの今井達也がブルージェイズ戦に2番手で登板した。渡米後初のリリーフ登板である。

内容はこうだった。

打者 結果 球数
7回 アーニー・クレメント 飛球 3
7回 アンドレス・ヒメネス 飛球 7
7回 マイルズ・ストロー 飛球 2
8回 ネイサン・ルークス ゴロ 2
8回 ウラジミール・ゲレーロJr. 三振 6
8回 岡本和真 三振 4
9回 ジョージ・スプリンガー 三振 4
9回 アレハンドロ・カーク 三振 8
9回 ヘスス・サンチェス 三振 4

3回・打者9人・被安打0・与四球0・5奪三振・34球。 最後の5人はすべて三振で、そこには岡本和真も含まれている。

先発したクリスチャン・ハビアーが6回を投げ、今井が残る3回を投げ切った。アストロズはこの日、2人だけで試合を終えている。

この登板が驚きなのは、内容そのものより、投げた本人が「1イニングあたりで見て、MLBで最も四球を出す投手」だからだ。

2026年、四球ワースト1位

2026年に50イニング以上を投げたMLBの投手は212人いる。その中で、9イニングあたりの与四球(BB/9)が最も多いのは今井達也だ。

順位 投手 BB/9 投球回 登板/先発
1 今井達也(HOU) 5.84 61.2 16/15
2 JR・リッチー 5.59 58.0 14/8
3 ライアン・ゼファージョン 5.57 51.2 45/0
4 ルインダー・アビラ 5.40 70.0 21/12
4 ジェイコブ・ロペス 5.40 70.0 17/14
6 ヨハン・ラミレス 5.31 61.0 47/1

MLB全体のBB/9は3.42。今井はその1.71倍を出している。

ところが、同じ212人の中でK/9(奪三振率)を見ると、順位はこうなる。

順位 投手 K/9
1 ジェイコブ・ミシオロフスキー 13.82
2 ディラン・シース 13.12
3 ライアン・ゼファージョン 13.06
4 ケイド・スミス 12.45
5 アーロン・アシュビー 12.35
10 今井達也 11.24

四球はワースト1位、三振は10位。 212人中の上位5%だ。

打者ベースで見ても同じことが起きている。

今井達也 MLB平均
K%(三振を奪う割合) 28.1% 22.1%
BB%(四球を出す割合) 14.6% 8.9%
K-BB% 13.5% 13.2%

三振は平均を6.0ポイント上回り、四球は5.7ポイント上回る。両方を極端に振り切った結果、差し引きはほぼMLB平均という奇妙な投手が出来上がっている。

「K/9 10以上かつBB/9 5以上」という条件を212人にかけると、該当するのは3人しかいない。今井、ゼファージョン(13.06/5.57)、ラミレス(10.33/5.31)。残る209人は、どちらか一方に振り切れていない。 そして今井以外の2人は、いずれも先発ではなくリリーフである。

歴史上、この型の代表格はノーラン・ライアンだろう。通算5,386回で2,795四球(BB/9 4.67)、5,714奪三振(K/9 9.55)、防御率3.19で324勝292敗。三振も四球もMLB歴代最多という投手が、通算では平均を上回る成績を残している。この型が成立しないわけではない。 ただし、成立させるには条件がある。

条件はストライク率だった

今井の2026年の15先発を、その試合のストライク率で3つに分けてみる。

ストライク率 先発 投球回 1先発あたり 防御率 BB/9 K/9
60%以上 6 31.0 5.17回 2.90 2.90 13.35
50〜60% 5 22.2 4.53回 5.56 5.16 7.54
50%未満 4 5.0 1.25回 25.20 30.60 12.60

同じ投手の同じシーズンとは思えない開きがある。

ストライク率60%以上の6先発では、防御率2.90・K/9 13.35・BB/9 2.90。 これはサイ・ヤング賞候補の成績だ。1先発5.17回と長さも出ている。

ストライク率50%未満の4先発では、防御率25.20・BB/9 30.60。 4試合を合計しても5イニングしか投げられていない。3月29日のデビュー戦(2回⅔)、4月10日(0回⅓)、7月1日(1回⅓)、7月27日(0回⅔)である。

比較の基準を置いておく。2026年のMLB全体のストライク率は63.8%。今井の先発時通年は58.4%で、5.4ポイント足りない。つまり彼は「MLB平均のストライクを投げられた日はエース、投げられなかった日は1イニングも持たない」という投手だった。

四球3個以上の先発が15試合中10試合、5回未満での降板が8試合、2回未満のKOが4試合。安定という言葉から最も遠い1年目である。

なお今井は4月13日に右腕の疲労で15日間の負傷者リスト入り(4月12日に遡及)し、マイナーでのリハビリ登板を経て5月12日に復帰している。約1か月の空白があった。

34球で何が変わったのか──変わらなかったもののほうが多い

ではリリーフ登板の34球で、今井は何を変えたのか。まず変わったものは1つだけだ。

先発時(15試合) 8/3リリーフ
ストライク率 58.4% 76.5%
1アウトあたりの球数 6.54球 3.78球

34球中26球がストライク。MLB平均の63.8%を12.7ポイント上回っている。1アウトを取るのに要した球数は、先発時の58%で済んだ

一方で、変わらなかったものを並べるほうが重要だ。

先発時 8/3リリーフ
4シームの平均球速 94.9マイル(152.7km/h) 94.9マイル(152.7km/h)
4シームの最速 98.3マイル(158.2km/h) 97.1マイル(156.3km/h)
主要2球種の割合 88.1% 100%

球速は0.1マイルも上がっていない。 短いイニングに絞って腕を振れたから速くなった、という説明は、少なくともこの登板では成り立たない。

球種構成も同じだ。リリーフではスライダー18球・4シーム16球の2球種しか投げなかったが、先発時もすでに実質2球種だった

球種 先発時の球数 割合
スライダー 522 45.4%
4シーム 492 42.7%
シンカー 61 5.3%
スプリット 42 3.6%
チェンジアップ 28 2.4%
カーブ 6 0.5%

上位2球種で88.1%。「球種を絞ったから良くなった」という説明も、数字の上では支えを持たない。 絞る前から絞れていた。

残るのは、ストライク率だけが動いたという事実である。

「リリーフに回れば四球は減る」は本当か

短いイニングなら制球が安定する、というのは直感的にもっともらしい。だが2026年のMLB全体を見ると、そうはなっていない。

人数 投球回 BB/9 K/9 防御率
先発型 227 17,257 3.14 8.37 4.17
救援型 550 12,888 3.80 8.67 4.22

救援型のほうが、9イニングあたり0.66個多く四球を出している。

理由は難しくない。ブルペンには「三振は取れるが制球に難がある」タイプが集まりやすいからだ。先に挙げた「K/9 10以上・BB/9 5以上」の3人のうち、今井以外の2人(ゼファージョン45登板0先発、ラミレス47登板1先発)はどちらもリリーフとして起用されながら、四球ワースト上位に居続けている。リリーフだから四球が減る、という関係はそこにない。

つまり、ブルペン転向そのものは四球への処方箋ではない。 今井の34球は、四球癖が治った証拠ではなく、ストライク率が高かった1試合というだけかもしれない。

実際、先発でもストライク率が60%を超えた日は防御率2.90・BB/9 2.90を記録している。76.5%という数字が9人の打者を相手にしたときだけのものなのか、それとも役割が変わって定着するものなのか──34球では判別できない。

判断するには次の数登板が要る。それが正直なところだ。

それでもアストロズが動いた理由

配置換えが報じられたのは7月31日(日本時間8月1日)。今井の7月の4先発は11回⅔で10自責点、防御率7.71に沈んでいた。

アストロズは1月2日、ポスティングでの移籍となる今井と3年5,400万ドル(出来高込みで最大6,300万ドル、オプトアウト付き)で契約した。年俸としてはポスティング移籍の投手で史上3番目の高額とされる。その1年目の8月に、先発ローテーションから外れたことになる。

ただし球団の事情も見ておく必要がある。アストロズは8月4日時点で58勝56敗、ア・リーグ西地区首位。ポストシーズンが射程に入っているチームが、防御率5.83(先発時のみ。無失点だったリリーフ3回を含む通年では5.55)の先発枠を抱え続ける余裕はない。

そして数字は、今井の実力がこの防御率より上であることを示している。

今井達也
防御率 5.55
FIP(運と守備を除いた実力防御率) 4.69

FIPは被本塁打・与四球・死球・奪三振だけから算出する指標で、平均は約4.00。今井のFIP 4.69は防御率5.55より0.86低い。 平均を下回ってはいるが、失点ほどには内容が悪くない、という読み方になる。

三振を奪う力は上位5%。それを封じているのが四球一点だとすれば、修正できたときの伸びしろは大きい。3回パーフェクトが評価されたのは、結果ではなく34球で9アウトを取れた効率のほうだろう。

まとめ

強い球を持ちながら勝てない投手を見たとき、球速や球種を疑いたくなる。だが今井の場合、そこは1年目からすでに整っていた。動いていなかったのは、ストライクゾーンに入った球の割合という、たった1つの数字だ。


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