今永昇太のMLBでの歩み
許した走者は、2回に清宮幸太郎へ与えた四球ひとりだけだった。2022年6月7日、敵地・札幌ドームでの日本ハム戦である。117球9奪三振、28人目の打者・野村佑希を右飛に打ち取ってノーヒットノーランが成立した。この球場では史上初だった。渡米1年目の2024年9月4日には、本拠地リグレー・フィールドのパイレーツ戦で7回95球を無安打無失点に抑えている。こちらは3投手の継投によるノーヒットノーランで、リグレーでは1972年以来のことだった。ナ・リーグ新人王投票は4位。特徴は勝敗や防御率より細かいところに出る。2026年9月20日までの通算486回1/3に対し、与四球は91。9回あたり1.68個という制球でWHIPは1.04に収まる一方、被本塁打は92本、9回あたり1.70本ある。与四球の少なさと被本塁打の多さが同居している投手だ。「投げる哲学者」という呼び名は、「負けた投手の名は残らない」といった言葉から付いたものである。2024年1月にカブスと結んだのは4年5300万ドルで、DeNAへの譲渡金は982万5000ドルだった。2025年オフ、球団側が延長オプションを破棄し、発生した1525万ドルの選手オプションを今永も拒否してFAとなった。そのうえで11月18日にクオリファイング・オファーを受諾し、単年2202万5000ドルで残留している。QOを受諾した日本選手は、彼が最初である。WBCにも2026年は出ていない。本人は出場を希望していたが、ホーキンスGMが「最終的にはキャンプをフルで消化することが、長期的に見て最善」と説明した、球団主導の判断だった。
2022シーズン成績(NPB)
NPB成績・タイトルはMLB APIに無いため出典(NPB公式ほか)から個別収録。この年はMLB出場が無いためMLBの各指標(Statcast等)は表示されません。
通算獲得額(日米)
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地区シリーズに残った日本人は5人 今永・今井・吉田は出番なく終戦
カブスで最多の32試合に先発した今永昇太、救援で防御率2.00と立て直した今井達也、負傷者リストにいた吉田正尚は、ワイルドカードシリーズで1試合も出場しないまま今季を終えた。鈴木誠也は2試合で7打数2安打。地区シリーズに勝ち残った日本人は大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、松井裕樹、村上宗隆の5人。
今永昇太の被弾34本 強い当たりは少ないのに角度だけが揃った
今季の被本塁打34本は、公開時点でアーロン・ノラと並ぶMLB最多タイだった(9月26日時点ではノラ36本、スプリングス35本に次ぐ3位)。日本人投手のシーズン被本塁打としても、2019年の菊池雄星36本、2017年の田中将大35本に次ぐ歴代3位に当たる。ところが与四球は9イニングあたり1.98個でリーグ上位、WHIP1.10、防御率3.80と、数字は打ち込まれている投手のものに見えない。1球ごとの計測値で分けると、強く打たれた打球の割合は100回以上を投げた137投手のうち102位で下位だった。それでいて、その強い当たりが本塁打の角度に乗った割合は7位。打者は今永から強い当たりを増やしたのではなく、強く打てた一打を上げていた。
日本人投手の一発はMLB平均の1.2倍 打たれ方は2つに割れた
8月23日、千賀滉大が9回裏にサヨナラ本塁打を浴びて0勝9敗になった。同じ日、菅野智之も3回で降板している。2026年の日本人投手9人を合わせた被本塁打率は9イニングあたり1.40本。MLB全体の1.16本を2割上回る。だが1球ごとの計測データを開くと、打たれ方は2つの型に割れていた。今永昇太は被打球の速度が同条件371投手の平均を下回りながら30本を浴び、菅野智之は6人で最も高めを使わないのにバレル率が371人中5位に入っている。そして山本由伸と大谷翔平は、どちらの型にも入らない。
奪三振率(K/9)とは何か──奪三振数では見えない「密度」と、2026年に13点台が2人いる異常
奪三振率(K/9)は「9イニングあたり何個の三振を奪ったか」を表す指標で、奪三振×9÷投球回で求める。奪三振の総数と違い、投げた量に左右されないので投手同士を公平に比べられる。2026年のMLBトップはジェイコブ・ミシオロフスキーの13.88、2位ディラン・ストップの13.26と、13点台が2人並ぶ高水準。日本人では山本由伸が8.45で33位、今永昇太が8.40で34位。歴代シーズン最高はシェーン・ビーバーの14.20(2020年)。
WHIPとは何か──防御率では見えない「走者を出さない力」と、山本由伸がMLB2位にいる理由
WHIPは「1イニングあたり何人の走者を出したか」を表す指標。(被安打+与四球)÷投球回で求める。2026年のMLBトップはジェイコブ・ミシオロフスキーの0.75、2位に山本由伸の0.90が入っている。ところが同じ山本は奪三振率(K/9)では33位。三振を量産するタイプではないのに、走者を出さない力ではMLB屈指という構造だ。防御率だけでは見えないこの違いを、2026年の実データで読み解く。