速い直球は、まだ三振を取る球になっていない――。ドジャースの佐々木朗希が9月25日(日本時間26日)の敵地ジャイアンツ戦で8回を任され、14球で3人を抑えて2三振を奪った。9月22日に続く今季2度目のリリーフで、2試合を合わせて2回無失点、4奪三振。直球は最速161.7キロを記録した。ところが4つの三振を1球ずつたどると、決めた球はスプリットが2つ、スライダーが2つで、直球は1つもなかった。
9月25日の8回は、先頭のメイヤーに160.6キロをボールにされ、スプリットを挟んで投げた161.3キロもファウルにされたあと、6球目の140.8キロのスライダーで見逃し三振。2人目のギルバートは、160.0キロの直球で捕邪飛に打ち取った。3人目のバンデュラには161.3キロで空振りを奪い、160.9キロをファウルにされ、この日最速の161.7キロはボールになった。最後は142.4キロのスライダーで、これも見逃し三振。直球で追い込み、スライダーで仕留める形が2打席とも同じだった。
さらに3日前、9月22日の本拠地パドレス戦も、三振を奪ったのは変化球だった。4回に登板してヘイズを148.9キロのスプリットで空振り三振、クローネンワースを147.6キロのスプリットで見逃し三振。一方で許した2本の安打は、どちらも直球を打たれたもの。ボガーツには2ボールから投げた161.1キロを、カンプサーノには159.6キロを弾き返された。2試合34球で、三振4つはすべて変化球、安打2本はすべて直球という内訳になる。
空振りは増え、球速は戻った
期間で区切って並べると、リリーフの2試合で動いているのは空振り率だ。
| 期間 | 登板 | 直球の平均 | 直球の最速 | 空振り率 | スライダーの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 開幕〜5/23 | 先発9 | 156.1km/h | 160.1km/h | 28.2% | 21% |
| 5/30〜7/30 | 先発10 | 158.7km/h | 163.8km/h | 31.8% | 22% |
| 8/7〜8/26 | 先発4 | 157.5km/h | 163.0km/h | 28.3% | 22% |
| 9/22・9/25 | リリーフ2 | 159.7km/h | 161.7km/h | 37.5% | 26% |
先発していた期間はスイングに対する空振りが28%から32%で推移していたのに、リリーフの2試合は37.5%。9月25日の14球に限れば40.0%になる。同じ期間にスライダーの割合も21〜22%から26%へ上がり、落ちる球(スプリットとフォーク)は36〜38%から32%へ下がった。空振りを奪った6球は直球3、スプリット2、スライダー1で、直球でも空振りは取れている。ただ、三振を決める球にはなっていない。
一方、球速のほうには前段がある。8月中旬から佐々木の直球は落ちており、8月26日の先発では平均156.1キロ、最速159.2キロと、開幕からの2か月と同じ水準まで下がっていた。翌27日、右中指のマメで15日間の負傷者リストに入った。復帰後は9月22日が平均158.8キロ、9月25日が平均161.0キロ。ただしこの日の最速161.7キロは今季の最速ではなく、7月17日の先発では163.8キロを投げた。今季の直球を速い順に並べると、上位4球はいずれも7月の先発から出ている。
先発のときから、直球は打たれていた
ただし、直球で三振が取れていないのは、リリーフになってからの話ではない。7月17日までの先発17試合で、佐々木の4シームは被打率.313、打球の58.3%が時速153キロ以上の強い当たりだった。変化球のうちスプリットは被打率.170と抑えていたのに対し、4シームが数字を悪くしていた。とくに打者有利のカウントで投げた4シームは42打数20安打と打ち込まれ、投手有利のカウントでは46打数7安打に抑えていた。9月22日にボガーツに打たれた161.1キロも、2ボールから投げた1球だった。
もっとも、リリーフの2試合は34球しかない。空振り率は1球で1ポイント以上動く母数で、三振4つと安打2本の内訳も、傾向と呼べる数ではない。期間別に見て平均球速がこの2試合で最も高いのも、リリーフになったからなのか、8月に落ちていた球速が戻ったからなのか、34球では切り分けられない。言えるのは、160キロ台に届く直球がまだ三振を取る球になっておらず、アウトの多くを変化球が担っているということまでだ。
今季の佐々木は25試合で5勝5敗、防御率4.52。そのうち23試合が先発で、リリーフは9月22日と25日の2試合だけ。ドジャースは25日の試合を2対0で制して98勝62敗とし、地区優勝はすでに決まっている。ポストシーズンで佐々木が先発とブルペンのどちらを担うかは、まだ発表されていない。
この記事の数字について
- 成績は MLB Stats API(レギュラーシーズン=
gameType=R)から取得した、米国時間2026年9月25日終了時点の数字。対象の試合は9月22日(gamePk 823897)と9月25日(gamePk 823167)。 - 1球ごとの球速・球種・判定は Baseball Savant の1球データ(
statcast_search、hfGT=R)と、MLB Stats API の試合フィードから取得した。今季の佐々木の投球2,086球すべてを対象にしている。 - 球速はマイルからメートル法に換算した(1マイル=1.609344キロ)。平均値は1球ごとに換算してから平均を取っている。原データでは9月25日の最速が100.5マイル、7月17日の最速が101.8マイル、8月26日の平均が97.0マイル。
- 空振り率は、空振り(ファウルチップを含む)÷スイング(空振り・ファウル・インプレー。バントとファウルバントは除く)として当サイトが算出した。割合は小数第1位で四捨五入している。リリーフ2試合は16スイングで6空振り。
- 期間の区切りは登板日で分けたもので、当サイトの整理による。4期間の登板数を足すと25試合になる。8月7日から26日までの4登板を分けているのは、8月27日に負傷者リスト入りの発表があったため。
- 球種の分類は Baseball Savant による。本文で期間ごとの割合を示した「落ちる球」は同サイトのスプリッター(FS)とフォーク(FO)を合わせた値で、1球ずつの記述と「先発のときから」の節の「スプリット」は同サイトのスプリッター(FS)だけを指す。
- 「先発のときから」の節の数字は、2026年7月17日終了時点の先発17試合の集計。カウントは4シームを投げた時点のもので、打者有利は1-0・2-0・3-0・2-1・3-1、投手有利は0-1・0-2・1-2。詳しい内訳は関連記事にある。
