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ニュース2026-09-20村上宗隆ホワイトソックス四球三振出塁率StatcastMLB

村上宗隆の四球88が安打87を上回る 日本人59季で前例なし

村上宗隆の四球88が安打87を上回る 日本人59季で前例なし

ホワイトソックスの村上宗隆が9月19日(日本時間20日)のタイガース戦で4打数1安打1打点、2三振。初回の適時打で安打は87本になり、四球88との差が1つに縮まった。9月14日から6試合、四球が安打を上回った状態が続いている。400打席以上の199人で四球が安打以上の打者はほかにおらず、日本人打者がMLBで400打席以上を踏んだ59シーズンにも前例がない。9月18日までの1球データで数えると、ボール球に手を出す割合は鈴木誠也と同じ22.4%。違いはストライクを振ったときの空振りで、鈴木誠也の11.1%に対して村上は30.8%に達する。

Baseball Archives 編集部2026-09-20データ出典 MLB Stats API

打率が語っているのは、この打者の半分でしかない――。ホワイトソックスの村上宗隆は9月19日(日本時間20日)の本拠地タイガース戦に4番一塁で出場し、4打数1安打1打点2三振。初回の左前適時打で安打は87本になったが、四球88が上回ったまま9月14日から6試合。32本塁打を放ちながら打率.203というMLB1年目の打者に、400打席以上を踏んだ199人でも、日本人打者が400打席以上に達した59シーズンでも例のない順序が生まれている。これを作ったのは、相手の警戒ではなかった。

誰もが思いつくのは、相手が勝負を避けているという説明だ。ところが、9月18日までに村上が見た2278球のうち、ストライクゾーンを通ったのは46.2%(1053/2278)。同じ数え方で鈴木誠也は47.2%(1225/2595)、カイル・シュワーバーは45.6%(1289/2829)。村上だけが避けられているわけではない。敬遠も88個のうち8個しかない。歩かされているのではなく、村上が自分から“歩いて”いた。

まず、ボール球を振らない。ゾーンの外に来た球のうち、村上がスイングしたのは22.4%(274/1225)しかない。選球眼で知られる鈴木誠也も、同じ9月18日までで数えると22.4%(307/1370)。小数第1位まで並んでいた。シュワーバーの25.7%(396/1540)より慎重で、“振らない”ことにかけては鈴木誠也と同じ水準にいた。

もっとも、それだけでは四球88には届かない。同じように振らない鈴木誠也の四球率は12.9%(78/606)で、村上の16.9%(88/521)に4ポイント届かない。差が出ているのはカウントの進み方のほうだ。3ボールまで行った打席の割合は村上が31.4%(160/510)、鈴木が28.1%(168/598)。そこから四球になった割合も50.0%(80/160)対43.5%(73/168)で、村上のほうが上だった。

では、3ボールまで行くのは打席が長いからか。それも違う。1打席あたりの球数は村上4.41球、鈴木4.31球、シュワーバー4.26球とほとんど変わらない。しかも、いちばん球数の少ないシュワーバーの四球率14.5%(96/664)は、鈴木の12.9%より高い。粘って歩いているのでもない。

ところが、その村上が、振ったストライクには当たらない。空を切る割合は30.8%(199/647)に達する。鈴木誠也は11.1%(81/731)、三振の多いシュワーバーですら19.9%(170/854)だった。ゾーンのど真ん中に来た球を振ったときも、村上は22.0%(26/118)で空を切った。4〜5スイングに1回。鈴木誠也の7.2%(11/152)の3倍だった。

同じ目で球を選び、同じように見送り、振ったストライクだけに当たらない。 だが、振る力そのものが弱いわけではない。計測値のあるスイングで平均したバットの速さは116.8キロで、鈴木誠也の114.5キロを上回る数字だった。速さと角度の組み合わせが本塁打になりやすい帯に入った打球の割合は18.8%(45/240)だった。45本塁打のシュワーバーの16.2%(56/346)より高い。減ったのは、当たる回数のほうだった。

結果として、村上の打席では野手のところへ球が飛ばない。四球88、三振187、本塁打32を足すと307になり、521打席の58.9%を占めた。400打席以上の199人で最も高い。三振率35.9%(187/521)も、87安打に占める本塁打32本の割合36.8%も、同じ199人のなかで1位。打率.220に届かずにOPSが.800を超えている打者も、199人のうち村上しかいない。

四球が安打を追い抜いたのは、ここ1か月半の出来事。7月末までの262打数は64安打で打率.244、四球58に対して安打64と、打った数のほうが多かった。しかし8月以降は166打数23安打の打率.139に落ち、三振83に対して四球30。9月の74打席では安打8本に三振37個、打率は.125まで下がった。「四球のほうが多い」状態が動かなくなったのは、9月14日から。

ただし、四球の側はむしろ減っている。打席に占める四球の割合は7月末までの18.0%(58/322)から8月以降は15.1%(30/199)へ下がった。順序が入れ替わったのは、四球が増えたからではない。インプレーの打球が安打になる割合が.296(40/135)から.200(15/75)へ落ちて、安打だけが先に消えた。

空振りの“率”は、8月より前からすでに高い。ストライクを振ったときの空振りは、7月末までで30.0%(124/413)だった。8月以降は32.1%(75/234)で、ほとんど動いていない。

相手の攻め方も変わっていない。ゾーン率は46.4%(651/1402)から45.9%(402/876)へしか動いていない。速球の割合は48.1%(674/1402)から47.5%(416/876)へ。どちらも動きは1ポイント以内だ。

それでも、当たったあとの中身は落ちている。シーズンの平均では鈴木誠也を上回るバットの速さも、自分自身の前半とくらべれば117.7キロから115.3キロへ下がった。強い当たりの割合は60.4%(96/159)から46.9%(38/81)へ落ちた。

三振率は32.3%(104/322)から41.7%(83/199)へ跳ねた。ただし内訳を分けると、見逃し三振は27個から19個へ減った。打席に占める割合は8.4%(27/322)から9.5%(19/199)へ、1.1ポイント動いただけ。残りは空振り三振で、23.9%(77/322)から32.2%(64/199)へ増えた。スイングあたりの空振りは動かないまま、その空振りが三振として終わる回数だけが増えている。

打順と起用も動いている。5月中旬から9月3日まで2番に固定されていた村上は、4日から3番へ、12日からは4番へ。ガーディアンズとの地区首位攻防戦では、15日に4打数無安打4三振を喫した。翌16日の第3戦は先発から外れ、味方の死球による交代で5回から一塁に入っている。7月10日に右ハムストリングの故障から復帰して以降、スタメンを外れたのは3度で、うち2度が9月に入ってから。

ウィル・ベナブル監督は15日の逆転サヨナラ負けのあと、こう述べている。「打順を動かしたからといって、魔法のようにスイングが直るわけではない」。そのうえで「最善の可能性を求めて打線を組むなかで、彼は依然としてその一部だ」と続けた。16日に先発から外した理由は「率直に言って、休ませるためだ」(いずれもシカゴ・サンタイムズ、米国時間9月15日・16日)。

それでも17日、5番に下げられた村上は32号3ランと三塁打を放ち、翌18日には4番へ戻った。本人にも自覚はあったようだ。ヒューストン遠征中、自分のスイング軌道が上向きになりすぎていたと感じていた、と村上が語っていたことを、球団の打撃ディレクターについて書いた記事が伝えている(シカゴ・サンタイムズ、米国時間9月9日)。

ど真ん中で空を切った今季いちばん遅い1球は、復帰初戦にあった。7月10日、初回の第1打席。その初球、真ん中に入ってきた126キロのスライダーを、時速122キロのスイングで空振りした。

19日の最後の打席も、形は同じだった。8回に2ボール1ストライクから141キロのカッターへ空を切り、続く137キロのチェンジアップも届かずに三振。球の速さの問題ではなかった。

7月末までは「選んで、当てて、飛ばす」打者だった。8月以降は「ボール球に手を出さないところは同じで、当たらない」。故障明けの体が振り出しを遅らせているのか。リーグの投手陣と2巡3巡してきた結果なのか。それとも、その両方なのか――。

もっとも、6試合ぶんの数字は振れ幅のうちでもある。1試合で3三振も2四球も起こりうる打者だけに、これで原因を1つに絞れるわけではない。ただ、打率.203という数字だけを見て「打てない1年目」と片付ける段階ではなくなった。問いは「なぜ打てないのか」から、「なぜ選べるのに“当てる”ときだけ届かないのか」へ移っている。

そして残り7試合。安打をあと1本足せば「四球が上回る」は消え、2本で「四球が安打以上」も外れる。消えなければ、日本人打者が59シーズンかけて一度も残さなかった順序が、そのまま記録に残る。選ぶ目も、当たったときの飛距離も残っている。ガーディアンズを1ゲーム差で追う2位のホワイトソックスの4番に足りないのは、打率ではなくバットに当たる回数のほうだ。

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