現地記者の見立ての分岐点
ドジャースの大谷翔平投手(32)がサイ・ヤング賞(ナ・リーグ最優秀投手賞)受賞の可能性を巡り、米メディアの見方が大きく二分している。前半戦を終えた時点での大谷の成績は14試合で8勝2敗、防御率1.79と申し分ない。しかし、ナ・リーグの競争環境と膝の故障リスクという現実が、各記者の評価を分ける要因になっている。
ニューヨークポスト紙のジョン・ヘイマン記者は極めて慎重だ。「現時点ではおそらく5番手」と位置付け、受賞確率を「10%」と示した。ブルワーズのミジオロウスキー、フィリーズのサンチェス、ブレーブスのセール、レッズのバーンズら他の有力候補が「投球だけに集中している」のに対し、二刀流として打撃にも体力を配分する大谷の構造的な不利を指摘している。
ただし、同記者の発言には注釈が必要だ。「大谷に関しては、どんなことでも可能性を否定することはできない」とも述べており、規格外の選手であることへの敬意がそこには込められている。
後半戦のペースが鍵
一方、ニューズデー紙のデービット・レノン記者とジ・アスレチックのブレンダン・カティ記者は同じく「65%」の可能性を示唆している。両者が共通して強調するのは「後半戦のパフォーマンス次第」という条件付きながら、大谷が規定投球回に達する蓋然性だ。
前半戦を通じて、大谷の投球回は85⅔。規定投球回までには11回⅓足りない。レノン記者は「チームとしても先発は必要だから大谷も先発ローテを出来るだけ守っていくだろう」と分析する。つまり、後半戦でのハイペース稼働が見込めるということだ。
しかし課題がある。6月下旬のパイレーツ戦で左膝の炎症を負い、オールスター出場を辞退した。カティ記者は「本気で狙えるチャンスは永遠ではない。今がそのタイミングだ」と述べながらも、その実現にはこの手負いの状態を乗り越えることが不可欠であることを暗に示している。
レノン記者も「前半戦よりさらに良い投球をする必要がある。それには膝の状態が関わってくる」と明言し、身体的コンディションが最大の変数であることは疑いようがない。歴史的な投打二刀流の果たし方が、日本投手初のサイ・ヤング賞という新たな扉を開くのか。後半戦の推移が全てを決める。